時刻は午後5時を過ぎたころ。
友人の母親の通夜の為、着替えていた。友人の悲しみを慮っていた。しかし、不謹慎だが、思わしくなそうな局面を考えていた。
△2五歩と飛車頭に歩を打たれ、先手の攻めが遮断された局面。
直前の▲3四角は、4三と2三を睨み、更に▲4四桂と角・桂のコンビ攻めを見た好所の角打ちだが、不安定な角の位置、浮き駒、攻めた時の跳ね返りも受けそうで、頼りなげに見えた。更に飛車も2六にいるので、図のように先手で攻めを遮断されてしまう。
図で飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。△2六歩と飛車を取る手には、▲4三角成△4一玉▲2三歩成(変化図2)と斬り込めば、勝負将棋か。
また、▲3五桂に△4二金には、後手の飛車成りを防ぎながら▲2三歩成を狙いにして▲2九飛(変化図1)と引いてどうか…
(変化図の番号の順番が逆になっていますが、気にしないでください)
しかし、変化図を掘り下げて考えてみると、変化図1の▲2九飛以下、△8四飛と角取りに引かれてもよく分からないし、△7六飛(7八の金取り)▲7七歩(金あるいは銀)に△3六飛と急かされると、攻めの継続が難しそう。△7六飛に▲6六歩と3四の角の筋で7八の金に紐をつけるても考えられる(△6六同飛は、この瞬間が甘い)が、先手玉があまりにも危なっかしくて、勝つ気がしない。そもそも、▲2九飛は、飛車の攻撃参加が望めなくなる。
5時15分、13分の考慮で▲1六飛。
桂の打ち場所(3五や4四)決めず、▲1四飛△同歩▲2三歩成の攻めも見た含みの多い手だ。2九より飛車の活用度は高い。
でも、飛車が狭い。実際、すぐ△1五香と打たれると詰んでいる。それに、△8九飛成(詰めろ)▲7九金△8四龍と角取りに引かれると▲3五歩と後手を引かされるしかないようだ(狙いの▲3五桂もなくなる)。
△8九飛成に▲4四桂△4二玉を利かせて▲7九金とする手があるかもしれないが、やはり△8四龍で、先手の攻めは急かされている。
重苦しい気持ちで、通夜の式場に向かう。
式場で友人の顔を見て、不謹慎な考えは捨てて、焼香をし、着座してお経を聞いた。
私の母とは2歳年下。どんな病気も避けてくれそうな、元気な人だったが、がんを患っていたと聞いた。
「落ち着いたら、今度、また遊ぼう」と彼に声を掛けて、別れた。
【補足】
△2五歩と飛車頭に歩を打たれた手に対し、「飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。△2六歩と飛車を取る手には、▲4三角成△4一玉▲2三歩成(変化図2)と斬り込めば、勝負将棋か」と書きましたが、
「図以下、△同銀▲同桂成△4二金で先手ダメだそうです(永瀬六段の解説)」という情報をStanleyさんからいただきました。
▲2三桂成を取らずに△4二金は見えませんでした。
永瀬図から、▲2二成桂△4三金▲6一銀は△4二金で受かっていますし、永瀬図から▲4二同馬△同玉▲2二成桂は、先手の攻めが途切れそうです。
う~ん……でも、「ダメです」と断言されて、「はい、そうですね」と同意するのも悔しいので(人の意見は謙虚に受け入れるべきですが)、抵抗してみます。
永瀬図から、▲3三成桂△同金左▲同馬と突撃してみます。3三の地点は後手の駒の利きが多く、△3三同金で後手の駒が残り、自爆のような手順ですが、△3三同金に▲4五桂と跳ねるのがしつこい食らいつき。
▲4五桂の金取りの対応が、意外と難しい。
△3二金は▲4四桂、△4四金は▲3三銀(詰めろ金取り)、△4三金とかわすのが筋だが、▲3五桂と絡みつかれると、振りほどくのは難しそう。
図から△4二玉と、先手に身を委ねるのはあるかもしれない。以下▲3三桂成に△同玉で判断不明図2。
ここで先手の攻め方が分からない。後手玉がぼんやりし過ぎて、どの方角から攻めていいのかわからない。
それに、話は戻るが、判断不明図(▲4五桂の局面)で、△9九飛▲7九金を利かせて、△7七角の攻防手が成立するかもしれない。
補足と銘打ちましたが、分からないことが増えただけでした。
友人の母親の通夜の為、着替えていた。友人の悲しみを慮っていた。しかし、不謹慎だが、思わしくなそうな局面を考えていた。
△2五歩と飛車頭に歩を打たれ、先手の攻めが遮断された局面。
直前の▲3四角は、4三と2三を睨み、更に▲4四桂と角・桂のコンビ攻めを見た好所の角打ちだが、不安定な角の位置、浮き駒、攻めた時の跳ね返りも受けそうで、頼りなげに見えた。更に飛車も2六にいるので、図のように先手で攻めを遮断されてしまう。
図で飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。△2六歩と飛車を取る手には、▲4三角成△4一玉▲2三歩成(変化図2)と斬り込めば、勝負将棋か。
また、▲3五桂に△4二金には、後手の飛車成りを防ぎながら▲2三歩成を狙いにして▲2九飛(変化図1)と引いてどうか…
(変化図の番号の順番が逆になっていますが、気にしないでください)
しかし、変化図を掘り下げて考えてみると、変化図1の▲2九飛以下、△8四飛と角取りに引かれてもよく分からないし、△7六飛(7八の金取り)▲7七歩(金あるいは銀)に△3六飛と急かされると、攻めの継続が難しそう。△7六飛に▲6六歩と3四の角の筋で7八の金に紐をつけるても考えられる(△6六同飛は、この瞬間が甘い)が、先手玉があまりにも危なっかしくて、勝つ気がしない。そもそも、▲2九飛は、飛車の攻撃参加が望めなくなる。
5時15分、13分の考慮で▲1六飛。
桂の打ち場所(3五や4四)決めず、▲1四飛△同歩▲2三歩成の攻めも見た含みの多い手だ。2九より飛車の活用度は高い。
でも、飛車が狭い。実際、すぐ△1五香と打たれると詰んでいる。それに、△8九飛成(詰めろ)▲7九金△8四龍と角取りに引かれると▲3五歩と後手を引かされるしかないようだ(狙いの▲3五桂もなくなる)。
△8九飛成に▲4四桂△4二玉を利かせて▲7九金とする手があるかもしれないが、やはり△8四龍で、先手の攻めは急かされている。
重苦しい気持ちで、通夜の式場に向かう。
式場で友人の顔を見て、不謹慎な考えは捨てて、焼香をし、着座してお経を聞いた。
私の母とは2歳年下。どんな病気も避けてくれそうな、元気な人だったが、がんを患っていたと聞いた。
「落ち着いたら、今度、また遊ぼう」と彼に声を掛けて、別れた。
【補足】
△2五歩と飛車頭に歩を打たれた手に対し、「飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。△2六歩と飛車を取る手には、▲4三角成△4一玉▲2三歩成(変化図2)と斬り込めば、勝負将棋か」と書きましたが、
「図以下、△同銀▲同桂成△4二金で先手ダメだそうです(永瀬六段の解説)」という情報をStanleyさんからいただきました。
▲2三桂成を取らずに△4二金は見えませんでした。
永瀬図から、▲2二成桂△4三金▲6一銀は△4二金で受かっていますし、永瀬図から▲4二同馬△同玉▲2二成桂は、先手の攻めが途切れそうです。
う~ん……でも、「ダメです」と断言されて、「はい、そうですね」と同意するのも悔しいので(人の意見は謙虚に受け入れるべきですが)、抵抗してみます。
永瀬図から、▲3三成桂△同金左▲同馬と突撃してみます。3三の地点は後手の駒の利きが多く、△3三同金で後手の駒が残り、自爆のような手順ですが、△3三同金に▲4五桂と跳ねるのがしつこい食らいつき。
▲4五桂の金取りの対応が、意外と難しい。
△3二金は▲4四桂、△4四金は▲3三銀(詰めろ金取り)、△4三金とかわすのが筋だが、▲3五桂と絡みつかれると、振りほどくのは難しそう。
図から△4二玉と、先手に身を委ねるのはあるかもしれない。以下▲3三桂成に△同玉で判断不明図2。
ここで先手の攻め方が分からない。後手玉がぼんやりし過ぎて、どの方角から攻めていいのかわからない。
それに、話は戻るが、判断不明図(▲4五桂の局面)で、△9九飛▲7九金を利かせて、△7七角の攻防手が成立するかもしれない。
補足と銘打ちましたが、分からないことが増えただけでした。
第5図の局面は、先手の攻めが心細く、私は相当悲観していました。
羽生王座は少し悪いように感じていたようです。控室では難しいと判断していたようです。佐藤八段は言葉にはしませんでしたが、この辺りは若干良さそうに感じていたようです。
ネット上では、ソフトの形勢判断数値が後手が+500前後だったので、「羽生終わった」「天彦強し」というコメントが飛び交っていたようです。
>飛車がつんでも2手かけて駒かけてとらせればいいのだし、後手の1四銀がぼけていますし。
仰るように、2手掛けて飛車を取る△1五香は俗に言う“イモ筋”ですね。飛車を取らせる隙にと▲3五桂が有力ですが、一旦、△8四飛と角取りに引いて先手の攻めが辛そうです。2三歩成から攻めても2二の金を相手にしなくてはならず、攻めが甘くなっているように思います。
△1五香に▲同飛と取る手は、△2六香の時の▲1四飛△同歩▲2三歩成と成りこむ筋と比べて、手駒が銀でなく香なので損なようですが、これはこれでけっこう難しいです。
また、△1五香▲同飛に飛車を取らず△8四飛と引く手もあり、ここから▲1四飛(▲3五歩もある)△3四飛(△1四同歩もある)などが考えられ、訳が分かりません。
△1五香はイモ筋で最善手ではないと思われますが、「ない手」とは言えないようです。
さて、ニコ生では永瀬さんが1図以下以下のように解説していました。
>図で飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。・・(変化図2)
これは、△2五歩、▲3五桂、△2六歩、▲4三角成、△4一玉、▲2三歩成、△同銀、▲同桂成、△4二金で先手ダメだそうです。
>実際、すぐ△1五香と打たれると(飛車が)詰んでいる。
△2五歩、▲1六飛、△1五香と進むのは、先手が有難いとのこと。その後、▲3五桂、△6一玉、▲2三歩成、△1六香、▲2二と、△9九飛、▲7九金で先手が固いということでした。
色々な変化を解説した後、△2五歩、▲1六飛に、△8九飛成、▲7九金、△8四竜、▲3五歩、△2六角で、難解とのことでした。次に▲1四飛は△同歩、▲2三歩成、△3五角は後手が良い。▲1四飛のところを▲5五桂は△4二金。また▲同飛は△同歩で先手は固くない等の話がありました。
本譜は、△2五歩、▲1六飛・・・の後、△2六角としないで△2六香としたため、形勢が先手に傾いたようです。この変化手順は、その2の記事に書かれると思いますので省略です。本局は、羽生王座の歩の使い方が印象に残った1局でした。▲2二歩、▲8六歩、終盤の▲8四歩から▲8三歩など、さすがの名人芸でした。
>羽生王座が防衛出来て、大変に良かったですね。
>英さんの喜ぶ顔が目に見えるようです。
記事中でも書きましたが、二重に暗い精神状態の夕方だったのですが、防衛できて非常にうれしいです。友人のことを思うと、手放しで喜べないのですが、勝ってよかったです。負けていたら、しばらく低迷することになったでしょう。
>>図で飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。・・(変化図2)
>これは、△2五歩、▲3五桂、△2六歩、▲4三角成、△4一玉、▲2三歩成、△同銀、▲同桂成、△4二金で先手ダメだそうです。
▲2三桂成を取らず△4二金は見えなかったです。これについては、記事に補足します(でも、正直言うと、よく分かっていないです)
>>実際、すぐ△1五香と打たれると(飛車が)詰んでいる。
>△2五歩、▲1六飛、△1五香と進むのは、先手が有難いとのこと。その後、▲3五桂、△6一玉、▲2三歩成、△1六香、▲2二と、△9九飛、▲7九金で先手が固いということでした。
△1五香の変化については「その2」で書きます。しかし、この変化も無茶苦茶難しくて、記事が難航しています。
>▲2二歩、▲8六歩、終盤の▲8四歩から▲8三歩など、さすがの名人芸でした。
ええ、そうですね。
でも、▲8六歩は理解できていません。(「その3」ぐらいで、書くかも)