英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第63期王座戦 第5局 その1「重い気持ちで」 【補足あり】

2015-10-27 21:26:04 | 将棋
 時刻は午後5時を過ぎたころ。
 友人の母親の通夜の為、着替えていた。友人の悲しみを慮っていた。しかし、不謹慎だが、思わしくなそうな局面を考えていた。


 △2五歩と飛車頭に歩を打たれ、先手の攻めが遮断された局面。
 直前の▲3四角は、4三と2三を睨み、更に▲4四桂と角・桂のコンビ攻めを見た好所の角打ちだが、不安定な角の位置、浮き駒、攻めた時の跳ね返りも受けそうで、頼りなげに見えた。更に飛車も2六にいるので、図のように先手で攻めを遮断されてしまう。

 図で飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。△2六歩と飛車を取る手には、▲4三角成△4一玉▲2三歩成(変化図2)と斬り込めば、勝負将棋か。
 また、▲3五桂に△4二金には、後手の飛車成りを防ぎながら▲2三歩成を狙いにして▲2九飛(変化図1)と引いてどうか…


(変化図の番号の順番が逆になっていますが、気にしないでください)
 しかし、変化図を掘り下げて考えてみると、変化図1の▲2九飛以下、△8四飛と角取りに引かれてもよく分からないし、△7六飛(7八の金取り)▲7七歩(金あるいは銀)に△3六飛と急かされると、攻めの継続が難しそう。△7六飛に▲6六歩と3四の角の筋で7八の金に紐をつけるても考えられる(△6六同飛は、この瞬間が甘い)が、先手玉があまりにも危なっかしくて、勝つ気がしない。そもそも、▲2九飛は、飛車の攻撃参加が望めなくなる。

 5時15分、13分の考慮で▲1六飛。
 桂の打ち場所(3五や4四)決めず、▲1四飛△同歩▲2三歩成の攻めも見た含みの多い手だ。2九より飛車の活用度は高い。
 でも、飛車が狭い。実際、すぐ△1五香と打たれると詰んでいる。それに、△8九飛成(詰めろ)▲7九金△8四龍と角取りに引かれると▲3五歩と後手を引かされるしかないようだ(狙いの▲3五桂もなくなる)。
 △8九飛成に▲4四桂△4二玉を利かせて▲7九金とする手があるかもしれないが、やはり△8四龍で、先手の攻めは急かされている。

 重苦しい気持ちで、通夜の式場に向かう。
 式場で友人の顔を見て、不謹慎な考えは捨てて、焼香をし、着座してお経を聞いた。
 私の母とは2歳年下。どんな病気も避けてくれそうな、元気な人だったが、がんを患っていたと聞いた。
 「落ち着いたら、今度、また遊ぼう」と彼に声を掛けて、別れた。


【補足】
 △2五歩と飛車頭に歩を打たれた手に対し、「飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。△2六歩と飛車を取る手には、▲4三角成△4一玉▲2三歩成(変化図2)と斬り込めば、勝負将棋か」と書きましたが、

「図以下、△同銀▲同桂成△4二金で先手ダメだそうです(永瀬六段の解説)」という情報をStanleyさんからいただきました。


 ▲2三桂成を取らずに△4二金は見えませんでした。
 永瀬図から、▲2二成桂△4三金▲6一銀は△4二金で受かっていますし、永瀬図から▲4二同馬△同玉▲2二成桂は、先手の攻めが途切れそうです。
 う~ん……でも、「ダメです」と断言されて、「はい、そうですね」と同意するのも悔しいので(人の意見は謙虚に受け入れるべきですが)、抵抗してみます。

 永瀬図から、▲3三成桂△同金左▲同馬と突撃してみます。3三の地点は後手の駒の利きが多く、△3三同金で後手の駒が残り、自爆のような手順ですが、△3三同金に▲4五桂と跳ねるのがしつこい食らいつき。

 ▲4五桂の金取りの対応が、意外と難しい。
 △3二金は▲4四桂、△4四金は▲3三銀(詰めろ金取り)、△4三金とかわすのが筋だが、▲3五桂と絡みつかれると、振りほどくのは難しそう。
 図から△4二玉と、先手に身を委ねるのはあるかもしれない。以下▲3三桂成に△同玉で判断不明図2。

 ここで先手の攻め方が分からない。後手玉がぼんやりし過ぎて、どの方角から攻めていいのかわからない。
 それに、話は戻るが、判断不明図(▲4五桂の局面)で、△9九飛▲7九金を利かせて、△7七角の攻防手が成立するかもしれない。

 補足と銘打ちましたが、分からないことが増えただけでした。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「金メダル30個取れ」遠藤... | トップ | 第63期王座戦 第5局 その2... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
第5図の形勢判断 (岡本 哲)
2015-10-28 03:40:31
 佐藤天彦八段を応援しながらネット観戦していました。第5図では、佐藤八段にとってはつらく、先手が攻めてる、切れない(ここはよみきらないといけないのですがアマチュアレベルの判断です)で優勢とおもっていました。飛車がつんでも2手かけて駒かけてとらせればいいのだし、後手の1四銀がぼけていますし。
返信する
難しい局面 ()
2015-10-28 10:50:51
岡本さん、こんにちは。

 第5図の局面は、先手の攻めが心細く、私は相当悲観していました。
 羽生王座は少し悪いように感じていたようです。控室では難しいと判断していたようです。佐藤八段は言葉にはしませんでしたが、この辺りは若干良さそうに感じていたようです。
 ネット上では、ソフトの形勢判断数値が後手が+500前後だったので、「羽生終わった」「天彦強し」というコメントが飛び交っていたようです。

>飛車がつんでも2手かけて駒かけてとらせればいいのだし、後手の1四銀がぼけていますし。

 仰るように、2手掛けて飛車を取る△1五香は俗に言う“イモ筋”ですね。飛車を取らせる隙にと▲3五桂が有力ですが、一旦、△8四飛と角取りに引いて先手の攻めが辛そうです。2三歩成から攻めても2二の金を相手にしなくてはならず、攻めが甘くなっているように思います。
 △1五香に▲同飛と取る手は、△2六香の時の▲1四飛△同歩▲2三歩成と成りこむ筋と比べて、手駒が銀でなく香なので損なようですが、これはこれでけっこう難しいです。
 また、△1五香▲同飛に飛車を取らず△8四飛と引く手もあり、ここから▲1四飛(▲3五歩もある)△3四飛(△1四同歩もある)などが考えられ、訳が分かりません。
 △1五香はイモ筋で最善手ではないと思われますが、「ない手」とは言えないようです。
返信する
羽生王座が防衛 (Stanley)
2015-10-28 15:26:40
英さん、こんにちは。先ず、羽生王座が防衛出来て、大変に良かったですね。佐藤天彦八段のファンの方には、申し訳けありませんが、これで羽生さんは人生の半分以上が、王座とか。いやー凄い記録ですね。英さんの喜ぶ顔が目に見えるようです。
さて、ニコ生では永瀬さんが1図以下以下のように解説していました。

>図で飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。・・(変化図2)
これは、△2五歩、▲3五桂、△2六歩、▲4三角成、△4一玉、▲2三歩成、△同銀、▲同桂成、△4二金で先手ダメだそうです。

>実際、すぐ△1五香と打たれると(飛車が)詰んでいる。
△2五歩、▲1六飛、△1五香と進むのは、先手が有難いとのこと。その後、▲3五桂、△6一玉、▲2三歩成、△1六香、▲2二と、△9九飛、▲7九金で先手が固いということでした。

色々な変化を解説した後、△2五歩、▲1六飛に、△8九飛成、▲7九金、△8四竜、▲3五歩、△2六角で、難解とのことでした。次に▲1四飛は△同歩、▲2三歩成、△3五角は後手が良い。▲1四飛のところを▲5五桂は△4二金。また▲同飛は△同歩で先手は固くない等の話がありました。

本譜は、△2五歩、▲1六飛・・・の後、△2六角としないで△2六香としたため、形勢が先手に傾いたようです。この変化手順は、その2の記事に書かれると思いますので省略です。本局は、羽生王座の歩の使い方が印象に残った1局でした。▲2二歩、▲8六歩、終盤の▲8四歩から▲8三歩など、さすがの名人芸でした。
返信する
難解な将棋です ()
2015-10-28 23:37:27
Stanleyさん、こんばんは。

>羽生王座が防衛出来て、大変に良かったですね。
>英さんの喜ぶ顔が目に見えるようです。

 記事中でも書きましたが、二重に暗い精神状態の夕方だったのですが、防衛できて非常にうれしいです。友人のことを思うと、手放しで喜べないのですが、勝ってよかったです。負けていたら、しばらく低迷することになったでしょう。

>>図で飛車取りを放置して▲3五桂と勝負する手はありそうだ。・・(変化図2)

>これは、△2五歩、▲3五桂、△2六歩、▲4三角成、△4一玉、▲2三歩成、△同銀、▲同桂成、△4二金で先手ダメだそうです。

 ▲2三桂成を取らず△4二金は見えなかったです。これについては、記事に補足します(でも、正直言うと、よく分かっていないです)

>>実際、すぐ△1五香と打たれると(飛車が)詰んでいる。

>△2五歩、▲1六飛、△1五香と進むのは、先手が有難いとのこと。その後、▲3五桂、△6一玉、▲2三歩成、△1六香、▲2二と、△9九飛、▲7九金で先手が固いということでした。

 △1五香の変化については「その2」で書きます。しかし、この変化も無茶苦茶難しくて、記事が難航しています。

>▲2二歩、▲8六歩、終盤の▲8四歩から▲8三歩など、さすがの名人芸でした。

 ええ、そうですね。
 でも、▲8六歩は理解できていません。(「その3」ぐらいで、書くかも)

返信する

コメントを投稿

将棋」カテゴリの最新記事