はるがすみ たなびくやまの さくらばな うつろはむとや いろかはりゆく
春霞 たなびく山の 桜花 うつろはむとや 色かはりゆく
よみ人知らず
春霞がたなびく山の桜花が、もう散ろうとしているのか、色が変わっていく。
せっかく咲いている桜が、山に霞がかかってまだ良く見られないでいるうちに、もう散ろうとしていることの嘆き。
ここからが巻第二「春歌下」の歌。四季を歌った歌ではやはり春と秋の歌が多く、夏と冬の歌はそれぞれ一巻ずつですが、春と秋は上下二巻の構成になっています。春と秋が他の季節以上に人の心を揺さぶるのは、今も昔も変わらないのですね。