漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0603

2021-06-24 19:58:21 | 古今和歌集

こひしなば たがなはたたじ よのなかの つねなきものと いひはなすとも

恋ひ死なば たが名は立たじ 世の中の 常なきものと 言ひはなすとも

 

清原深養父

 

 私が恋死にをしたならば、私たちのことが噂にならないなどということがあるでしょうか。たとえその死が、世の中が無常であることの現れだと言いつくろってみたとしても。

 なかなかに難解な歌です。「たが名は立たじ」は、言葉通りでは「誰の噂が立たないことがあろうか」の意ですが、ここでの「誰」は、歌全体から解釈すれば作者とその恋人のことでしょう。人の死は世の常といくら言いつくろってみても、私が死んだらそれは恋ゆえの死であると噂されるに違いありませんよ、というわけですね。