古今和歌集 0585 2021-06-06 19:53:59 | 古今和歌集 ひとをおもふ こころはかりに あらねども くもゐにのみも なきわたるかな 人を思ふ 心はかりに あらねども 雲居にのみも なきわたるかな 清原深養父 あの人を思う私の心は仮初めのものではなく、雁が空を渡りながら鳴くように、私も遠く離れた場所で泣き続けていることよ。 「かり」が「雁」と「仮」、「なき」が「鳴き」と「泣き」の掛詞になっていて、鳴きながら空を渡る雁と、仮初めでない思いで泣き続ける自身という二重の意味を、わずか三十一文字の中に巧みに詠み込んでいます。