ふゆかはの うえはこほれる われなれや したになかれて こひわたるらむ
冬川の 上はこほれる われなれや 下になかれて 恋わたるらむ
宗岳大頼
表面は凍ってその下は流れている冬の川と同じように、うわべは平静を装いながら、心の中では泣きながらずっと恋し続けている私であるよ。
「なかれて」は「流れて」と「泣かれて」の掛詞になっています。自身の心情を冬の川になぞらえる発想の妙ですね。
作者の宗岳大頼(むねをか の おほより)は、算術の教授をつかさどる「算博士」の任にあった人物ですが詳細はわかっていません。古今集には本歌と 0979 の二首が入集しています。