漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0606

2021-06-27 19:05:32 | 古今和歌集

ひとしれぬ おもひのみこそ わびしけれ わがなげきをば われのみぞしる

人知れぬ 思ひのみこそ わびしけれ わがなげきをば われのみぞ知る

 

紀貫之

 

 あの人を思い、人知れず燃えさかる私の思いの火は、本当につらいもの。思いの火に投げ込む投げ木のような私の嘆きを知っているのは私だけなのだ。

 「思ひ」の「ひ」は「火」の、「嘆き」の「き」は「木」の、それぞれ掛詞になっています。

 

 伝わらない思いを嘆く貫之歌が三首つづいたところで、巻第二「恋歌二」も残り九首となりました。