漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0652

2021-08-12 19:54:40 | 古今和歌集

こひしくは したにをおもへ むらさきの ねずりのころも いろにいづなゆめ

恋しくは 下にを思へ 紫の 根摺りの衣 色に出づなゆめ

 

よみ人知らず

 

 恋しく思うのであれば、心の中で思っていなさい。紫草の根で摺った衣のように、決して表には出さずに。

 「紫」は紫草の意で、根から赤紫色の染料が取れる。「ゆめ」は禁止や打消しの語を伴って「決して~するな」「まったく~ない」の意を表す副詞。現代でも、少し文語調がかった文章などで「ゆめゆめ~するでないぞ」などと使いますね。