したにのみ こふればくるし たまのをの たえてみだれむ ひとなとがめそ
下にのみ 恋ふれば苦し 玉の緒の 絶えて乱れむ 人なとがめそ
紀友則
恋情を心に秘めていることが苦しい。玉を連ねる紐が切れて玉が散り乱れるように、私も恋に乱れてみようか。人よ、どうか咎めないでおくれ。
歌意はわかりやすいですね。「玉の緒」が「絶ゆ」と結びついて詠まれた歌となれば、百人一首にも採られた式子内親王の名歌もご紹介しないわけにはいきませんね。
たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする
式子内親王
(新古今和歌集 巻第十一 「恋歌一」 第1034番)