たぎつせの はやきこころを なにしかも ひとめつつみの せきとどむらむ
たぎつ瀬の はやき心を 何しかも 人目つつみの せきとどむらむ
よみ人知らず
早瀬のように激しい気持ちを、どうして人目を憚る気持ちが堤防となって堰き止めるのだろうか。
0659 に続いて「人目つつみ」という印象的な語が使われていますね。前歌は人目を憚って逢いに行けないという歌でしたが、こちらは思いそのものが人目によって堰き止められるという詠歌。表現は違いますが詠んでいる情景・心情は同じと言って良いでしょう。人目を憚る事情はわかりませんが、身分違いの恋というところでしょうか。