漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0660

2021-08-20 19:02:12 | 古今和歌集

たぎつせの はやきこころを なにしかも ひとめつつみの せきとどむらむ

たぎつ瀬の はやき心を 何しかも 人目つつみの せきとどむらむ

 

よみ人知らず

 

 早瀬のように激しい気持ちを、どうして人目を憚る気持ちが堤防となって堰き止めるのだろうか。

 0659 に続いて「人目つつみ」という印象的な語が使われていますね。前歌は人目を憚って逢いに行けないという歌でしたが、こちらは思いそのものが人目によって堰き止められるという詠歌。表現は違いますが詠んでいる情景・心情は同じと言って良いでしょう。人目を憚る事情はわかりませんが、身分違いの恋というところでしょうか。