おほかたは わがなもみなと こぎいでなむ よをうみべたに みるめすくなし
おほかたは わが名もみなと こぎ出でなむ 世をうみべたに みるめ少なし
よみ人知らず
どうせそのうち噂が立ってしまうのなら、舟を漕ぎ出して海に出ていくように、世間にはっきりと知られてしまっても構わない。そうなっても世間を疎ましく思うだけで、海辺には海松布(みるめ)が少ないように、あの人と逢える機会はどうせ少ないのだから。
難解な歌で、一応意味が通るようにと思うと解釈文が冗長になってしまいました。「うみべた」は「海のあたり」の意ですが、それと同時に「うみ」は「憂み」との掛詞にもなっています。「みるめ」は例によって「海松布」と「見る目」の掛詞ですね。