漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0659

2021-08-19 19:23:00 | 古今和歌集

おもへども ひとめつつみの たかければ かはとみながら えこそわたらね

思へども 人目つつみの 高ければ かはと見ながら えこそ渡らね

 

よみ人知らず

 

 あなたのことを恋慕ってはいますが、堤の高い川を渡ることができないように、人目を憚るが余り、そこにあなたがいるとわかっていても逢いに行くことができないのです。

 「つつみ」は憚る意味の「慎み」と川の堤防を意味する「堤」、「かは」は「彼は」と「川」の掛詞になっています。三十一文字の中に巧みに二重の意味を詠み込んだ、味わい深い歌ですね。