はなすすき ほにいでてこひば なををしみ したゆふひもの むすぼほれつつ
花すすき 穂に出でて恋ひば 名を惜しみ 下結ふ紐の 結ぼほれつつ
小野春風
花ススキが穂を出すように思いを表に出して恋をすると噂になってしまうので、結ばれている下紐のように私の恋情も固く結んで塞いでいることよ。
「花すすき」は「穂」に掛かる枕詞。「結ぼほる」は「しっかりと固く結ばれる」意に加えて「気持ちがふさぐ」の意があり、ここではその両方の意味で使われていますね。
作者の小野春風(おの の はるかぜ)は平安時代前期の貴族にして歌人。古今集には本歌と 0963 の二首が入集しています。勅撰集への入集はこの二首のみのようですね。