ささのはに おくはつしもの よをさむみ しみはつくとも いろにいでめやは
笹の葉に 置く初霜の 夜を寒み しみはつくとも 色に出でめやは
凡河内躬恒
笹の葉に置いた初霜は、夜が寒いので凍みつくけれども、笹の葉を色づかせることはない。それと同じように、私もあなたへの思いを表に出すことはしません。
第四句の「しみ」は「凍み」と「染み」を掛けて、笹の葉が霜で凍ることと作者が愛しい人への思いに染まることを同時に表現しています。「初霜」は躬恒が好んだ語のようで、古今集の中でも 0277、0416 にも登場しています。
こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花
(0277)
よをさむみ おくはつしもを はらひつつ くさのまくらに あまたたびねぬ
夜を寒み 置く初霜を はらひつつ 草の枕に あまたたび寝ぬ
(0416)