漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0661

2021-08-21 19:00:57 | 古今和歌集

くれなゐの いろにはいでじ かくれぬの したにかよひて こひはしぬとも

紅の 色には出でじ 隠れ沼の 下にかよひて 恋ひは死ぬとも

 

紀友則

 

 紅色のようにはっきりと思いを表に出すようなかおとはするまい。隠れ沼のようにひそかに思いを通わせるだけで恋死にをしてしまうとしても。

 「紅の」は「色」にかかる枕詞であると同時に、あざやかな色の比喩。「下にかよひて」は人に知られずにひっそりと思いを寄せる意です。