みののくに せきのふじかは たえずして きみにつかへむ よろづよまでに
美濃の国 関の藤川 絶えずして 君に仕へむ 万代までに
よみ人知らず
美濃の国の関所に流れる藤川は、流れが絶えることがない。私も同じように、絶えることなく帝にお仕えしよう。
左注には「これは元慶の御嘗の美濃の歌」とあります。「元慶」は第57代陽成天皇を指し、その大嘗祭が執り行われたのは 877年のことです。「藤川」は現在は「藤古川」と呼ばれる川で、岐阜県不破郡を流れる川。第二句の「関」は不破の関のことのようです。