漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1086

2022-10-20 05:55:04 | 古今和歌集

あふみのや かがみのやまを たてたれば かねてぞみゆる きみがちとせは

近江のや 鏡の山を たてたれば かねてぞ見ゆる 君が千歳は

 

大友黒主

 

 近江国には鏡山という名の山が立っているので、わが君の長寿が今からもう見えています。

 左注には「これは今上の御嘗の近江の歌」とあります。「今上」が指すのは第60代醍醐天皇。その大嘗祭が執り行われたのは 897年のことです。近江の鏡山を詠んだ歌は 0899 にもありました。よみ人知らずの歌ですが、そこに「この歌は、ある人のいはく、大伴黒主がなり」とあるのは、あるいはこの 1086 が黒主歌であるためかもしれません。