漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 082

2023-07-07 05:50:13 | 貫之集

をみなへし うつろひがたに なるときは かりにのみこそ ひとはみえけれ

女郎花 うつろひがたに なるときは かりにのみこそ 人は見えけれ

 

女郎花が色褪せてきた時には、かりそめにしか人は来てくれなくなってしまうのですね。

 

 狩をする男と、色褪せた女郎花が描かれた屏風に添えられた歌とのこと。第四句の「かり」は「狩り」と「仮」の掛詞になっています。色褪せた女郎花は、年齢を重ねて衰えた女性の見立てで、その女性の心を詠んだものですね。275 にも類歌が登場します。

 

かりにのみ ひとのみゆれば をみなへし はなのたもとぞ つゆけかりける

かりにのみ 人の見ゆれば 女郎花 花の袂ぞ 露けかりける