しらなみの ふるさとなれや もみぢばの にしきをきつつ たちかへるらむ
白波の 故郷なれや もみぢ葉の 錦をきつつ たちかへるらむ
紅葉の葉が川面に散って、川が錦を着たようになっているのは、川に立つ白波が錦を着て故郷へ帰る姿なのであろうか。
一読して「故郷へ錦を飾る」という言葉を踏まえた詠歌とわかりますが、この言葉は中国の史書(『梁書』)に由来する言葉なのですね。改めて調べて見て、今回初めて知りました。
この歌は拾遺和歌集(巻第十七 「雑秋」 第1130番)に入集していますが、そちらではよみ人知らずとされています。そうなっている事情背景はわかりませんでした。