滝あるところ
まつのおと ことにしらぶる やまかぜは たきのいとをや すげてひくらむ
松の音 琴にしらぶる 山風は 滝の糸をや すげて弾くらむ
滝のある場所
松籟が、山風が琴を奏でているかのように聞こえるのは、滝の水を糸にしてすげて弾いているのであろう。
094 が藤、本歌が滝を題材とした歌ですが、この藤ー滝の配列は 062 と 063、177 と 178、191 と 192 にも見られます。古今集が明らかに周到な意図をもって歌が配列されていたことが想起されますが、この貫之集も、基本的に各カテゴリの歌が詠まれた順に並べられている中で、細かい部分ではやはり一定の意図が配列に反映されているようです。