十二月
このまより かぜにまかせて ふるゆきを はるくるまでは はなかとぞみる
木の間より 風にまかせて 降る雪を 春くるまでは 花かとぞ見る
十二月
木々の間から風が吹くのにまかせて降る雪を、春が来るまでは花かと思って見るのであるよ。
降る雪を花に見立てて、春を待ちわびる思いを詠みあげていますね。貫之による類歌は、古今集 331 にも見えます。
ふゆごもり おもひかけぬを このまより はなとみるまで ゆきぞふりける
冬ごもり 思ひかけぬを 木の間より 花と見るまで 雪ぞ降りける