延喜十八年二月、女四の皇女の御髪上げの屏風の歌、内裏の召ししに奉る八首
正月
やまのはを みざらましかば はるがすみ たてるもしらで へぬべかりけり
山の端を 見ざらましかはば 春霞 立てるも知らで へぬべかりけり
延喜十八年(918年)二月、勤子内親王の御髪上げ(かみあげ)の儀式の際、醍醐天皇の仰せによって奉った屏風歌八首
正月
山の端に春霞がかかっているのを見なかったなら、春になったことを知らずに過ごすところであったよ。
今日から 217 までの 121 首、貫之集第二収録の歌のご紹介。延喜十八年(918年)から延長年間(923~931年)頃までの屏風歌です。
詞書に登場する「勤子(きんし/いそこ)内親王」は第60代醍醐天皇の第四皇女、「御髪上げ」は女子の成人に達した儀式で、初めて髪を結いあげることを指し、「みぐしあげ」とも言うようです。第三句の「立つ」は春霞が立つことと春が立つ、すなわち「立春」との両義ですね。