漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 102

2023-07-27 05:20:45 | 貫之集

九月

いづれをか はなとはわかむ ながつきの ありあけのつきに まがふしらぎく

いづれをか 花とはわかむ 長月の 有明の月に まがふ白菊

 

九月

どれを花と見分けようか。長月の有明の月の白い光に紛れている白菊を。

 

 白菊が月光に白く照らされている幻想的な風景。「有明の月」ですから、空もほんのり白んじ始めている時刻なのかもしれませんね。貫之には次のような類歌もあります。

 

つきかげも はなもひとつに みゆるよは いづれをわきて をらむとぞおもふ

月影も 花もひとつに 見ゆる夜は いづれをわきて 折らむとぞ思ふ

(古今和歌六帖 第六「草」 第3736番)