九月
いづれをか はなとはわかむ ながつきの ありあけのつきに まがふしらぎく
いづれをか 花とはわかむ 長月の 有明の月に まがふ白菊
九月
どれを花と見分けようか。長月の有明の月の白い光に紛れている白菊を。
白菊が月光に白く照らされている幻想的な風景。「有明の月」ですから、空もほんのり白んじ始めている時刻なのかもしれませんね。貫之には次のような類歌もあります。
つきかげも はなもひとつに みゆるよは いづれをわきて をらむとぞおもふ
月影も 花もひとつに 見ゆる夜は いづれをわきて 折らむとぞ思ふ
(古今和歌六帖 第六「草」 第3736番)