漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 116

2023-08-10 06:26:41 | 貫之集

人の春の野に遊ぶところ

はるふかく なりぬるときの のべみれば くさのみどりも いろまさりけり

春深く なりぬるときの 野辺見れば 草の緑も 色まさりけり

 

人が春の野で遊んでいるところ

春が深くなってきたころの野辺を見ると、草の緑もひときわ色が濃くなってきた。

 

 歌人の心の動きが直接的にも間接的にも表現されていない、いわばピュアな叙景歌と言って良いでしょうか。個人的には「だからどうしたの?」と言いたくなる系の歌ですね ^^;;;

 下二句は貫之自身に同フレーズの古今集歌があります。

 

わがせこが ころもはるさめ ふるごとに のべのみどりぞ いろまさりける

わがせこが 衣はるさめ 降るごとに 野辺の緑ぞ 色まさりける

(古今和歌集 巻第一「春歌上」 第25番)