人の春の野に遊ぶところ
はるふかく なりぬるときの のべみれば くさのみどりも いろまさりけり
春深く なりぬるときの 野辺見れば 草の緑も 色まさりけり
人が春の野で遊んでいるところ
春が深くなってきたころの野辺を見ると、草の緑もひときわ色が濃くなってきた。
歌人の心の動きが直接的にも間接的にも表現されていない、いわばピュアな叙景歌と言って良いでしょうか。個人的には「だからどうしたの?」と言いたくなる系の歌ですね ^^;;;
下二句は貫之自身に同フレーズの古今集歌があります。
わがせこが ころもはるさめ ふるごとに のべのみどりぞ いろまさりける
わがせこが 衣はるさめ 降るごとに 野辺の緑ぞ 色まさりける
(古今和歌集 巻第一「春歌上」 第25番)