漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 129

2023-08-23 05:44:41 | 貫之集

山辺に、藤の花松にかかれる

ふぢのはな もとよりみずは むらさきに さけるまつとぞ おどろかれまし

藤の花 もとより見ずは むらさきに 咲ける松とぞ 驚かれまし

 

山辺の松に藤の花がかかっている

松に藤の花がかかっていて、その元から見なかったら松が紫の花を咲かせているのかと、驚いたことだろう。

 

 「山辺」とありますから、遠くから見た光景なのでしょう。一見してすぐに藤とわからないので、松に紫の花が咲いたかと思って驚いてしまうという歌。最後に「まし(=反実仮想)」がついていますので、実際には根本から良く見たので藤の花とわかり、驚きはしなかったということですね。