漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 117

2023-08-11 06:08:07 | 貫之集

散る桜

おなじいろに ちりしまがへば さくらばな ふりにしゆきの かたみとぞみる

おなじ色に 散りしまがへば 桜花 ふりにし雪の かたみとぞ見る

 

散る桜

桜の花は雪と同じ色になって散り、雪と見紛いそうになるので、以前に降った雪の形見として今は桜を見るのであるよ。

 

 第二句「散りしまがへば」の「し」は強調の副助詞。第四句の「ふり」は「降り」と「古り」の掛詞になっています。桜を雪の形見と見る発想は 404 にも登場します。

 

ちりまがふ いろをみつつぞ なぐさむる ゆきのかたみの さくらなりけり

散りまがふ 色を見つつぞ なぐさむる 雪のかたみの 桜なりけり