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漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 351

2024-04-01 05:47:50 | 貫之集

あきはぎに みだるるたまは なくしかの こゑよりおつる なみだなりけり

秋萩に 乱るる玉は なく鹿の 声より落つる 涙なりけり

 

秋萩に乱れ落ちる露の玉は、鳴く鹿の声につれてこぼれ落ちる涙なのであるよ。

 

 「なく」には「鳴く」と「泣く」が掛かっていて、萩の葉に置く露を、妻を想って鳴く(泣く)鹿の涙に見立てての詠歌です。
 この歌は、続古今和歌集(巻第五「秋下」 第442番)、風雅和歌集(巻第五「秋上」 第521番)に入集しており、前者では第二句が「みだるるつゆは」と、後者では初句が「あきはぎの」とされています。