馬、車に乗りて、人おほく野に出でたり。さまざまの花咲きまじりたり
あきくれば はたおるむしの あるなへに からにしきにも みゆるのべかな
秋くれば 機織る虫の あるなへに 唐錦にも 見ゆる野辺かな
馬や車に乗って、たくさんの人が野に出ている。さまざまな花が咲き交じっている。
秋が来ると、はたおりが鳴くとともに、野辺がまるで唐錦のように美しく見えるよ。
「機織る虫」とはキリギリスの古称。その名前からの連想で、色とりどりの花が咲く野辺を唐錦のようと詠んだ歌です。さぞ美しい光景で絵柄であったことでしょうね。
この歌は拾遺和歌集(巻第三「秋」 第180番)に入集しています。