漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 352

2024-04-02 05:32:52 | 貫之集

おなじ七年、右大臣殿屏風の歌

梅の花、若菜あるところ、女、簾の前に出でて見る

のべみれば わかなつみけり むべしこそ かきねのくさも はるめきにけれ

野辺見れば 若菜摘みけり むべしこそ 垣根の草も 春めきにけれ

 

同じ承平七年、右大臣殿の屏風の歌

梅の花と若菜があるところを、女が簾の前に出て見ている。

野辺を見ると、若菜摘みの風景であった。なるほど、垣根の草も春めいてきたのであるなあ。

 

 「右大臣」は藤原恒佐(ふじわら の つねすけ)のこと。この承平七年に右大臣に就任しており、一連の屏風歌はその祝賀のためのものと考えられています。「むべし」は「宣し」で普通は「うべし」でしょうか。実際、拾遺和歌集(巻第一「春」 第19番)では「うべし」となっています。