漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0927

2022-05-14 05:36:12 | 古今和歌集

ぬしなくて さらせるぬのを たなばたに わがこころとや けふはかさまし

主なくて さらせる布を たなばたに わが心とや 今日はかさまし

 

橘長盛

 

 持ち主がなくて晒してある布を、私の心として今日は織姫にお供えしましょうか。

 詞書には「朱雀院の帝、布引の滝御覧ぜむとて、文月の七日の日おはしましてありける時に、さぶらふ人々の歌よませたまひけるによめる」とあります。「朱雀院の帝」は第59代天皇であった宇多上皇のこと。第三句の「たなばた」は、ここでは織姫を指します。
 作者の橘長盛(たちばな の ながもり)は平安時代前期の貴族にして歌人。古今集への入集はこの一首のみです。


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