延長四年、清貫の民部卿六十賀、恒佐の中納言の北の方せられける
かすがのの わかなもきみを いのらなむ たがためにつむ ものならなくに
春日野の 若菜も君を 祈らなむ たがために摘む ものならなくに
延長四年(926年)、民部卿藤原清貫民部卿の六十歳の祝いを、中納言藤原恒佐の北の方が催した。
春日野の若菜もあなた様のご長寿を祈ってほしい。他の誰のためでもない、あなた様のために摘むのですから。
藤原清貫(ふじわら の きよつら)、藤原恒佐(ふじわら の つねすけ)はいずれも平安時代の公卿。恒佐の妻の一人は清貫の娘ですので、詞書にある「北の方」とはおそらくはその人物、つまり「北の方」が自身の父の還暦を祝ったということですね。