わかなおふる のべといふのべを きみがため よろづよしめて つまむとぞおもふ
若菜おふる 野辺といふ野辺を 君がため 万代しめて 摘まむとぞ思ふ
若菜の生えている野辺という野辺に、あなたさまのために標めを張って、いつまでも摘んでさしあげようと思います。
第四句の「しめて」は「標めて」で、自分の領地であることを示す目印をする意。ひとつ前の 188 と「若菜」「摘む」「君がため」の語が共通しており、同じ屏風絵に対して二首詠んだのかもしれませんね。
この歌は、新古今和歌集(巻第七「賀歌」 第711番)にも入集しています。百人一首にも採録された古今集歌(古今集 0021)も踏まえてのものでしょうか。作者の「仁和の帝」は第58代光孝天皇のことです。
きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ
気にがため はるののにでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ
仁和の帝