漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 015

2023-05-01 05:55:20 | 貫之集

小鷹狩り

あきののに かりぞくれぬる をみなへし こよひばかりの やどはかさなむ

秋の野に 狩りぞ暮れぬる 女郎花 今宵ばかりの 宿はかさなむ

 

小鷹狩り

秋の野に狩りをして日が暮れてしまった。女郎花よ、今宵限りの宿を貸してほしい。

 

 コトバンクによれば、「小鷹狩り」とは「秋に行なう鷹狩り。小形の鷹を使って、主としてウズラ、ヒバリ、スズメなどの小鳥をとる狩り。初鳥狩(はつとがり)。」とのこと。これに対して、大鷹を使って冬に行う「大鷹狩り」というものもあるようです。
 狩りの場に女郎花が咲いている情景の屏風絵と思われますが、「狩り」と「女郎花」は好まれた構図であったようで、このあとも 039082275504 にも登場します。「女郎花」はもちろん実際の女性の存在を連想させますね。狩りに興じることは、懇意の女性と一夜を共にする機会でもあったのでしょう。

 この歌は後拾遺和歌集(巻第四「秋上」 第314番)にも収録されおり、そちらでは清原元輔作とされています。これは、元輔が屏風歌の作例として手元においていた貫之歌を後人が誤って元輔の家集に加え、後拾遺集はそれをそのまま元輔作として採録したとの説が有力で、実際は貫之作と考えられているようです。158337 も同様ですね。



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