ひのひかり やぶしわかねば いそのかみ ふりにしさとに はなもさきけり
日の光 やぶしわかねば 石上 ふりにし里に 花も咲きけり
布留今道
日の光は、藪を分け隔てしないで降り注ぐものだから、古びた里にもやはり花は咲くのですね。
詞書には、石上並松という人物が急に五位に任ぜられたお祝いに詠んで送った歌、との記載があります。「日の光」は帝の恩寵の比喩、「石上」は「ふる(古る)」に掛かる枕詞ですね。
平安時代前期の貴族布留今道(ふる の いまみち)の歌が 0227 以来久しぶりの登場。その記事には、「古今集にはこの歌を含めて三首が入集していますが、残りの二首は 0870 と 0946 ですから、ご紹介するのはかなり先になりますね」と書いていました。2年近くの月日を経て、その「かなり先」の時にようやくたどり着きました。^^