ことならば おもはずとやは いひはてぬ なぞよのなかの たまだすきなる
ことならば 思はずとやは 言ひはてぬ なぞ世の中の 玉襷なる
よみ人知らず
同じことならば、恋しく思ってはいないと言い切ってくれないものだろうか。どうして世の中は、心にかかることばかりなのだろうか。
「ことならば」は第一句によく登場する常套句で、0082、0395、0854 にも出てきました。「やは」は願望を込めた反語。「玉襷」は多くは「掛く」にかかる枕詞として使われますが、ここでは心のかかることの喩えですね。
今日から9月。古今和歌集のご紹介も、「墨消歌(すみけちうた)」まで含めても残り74首。11月半ばには全巻読み切りとなります。何やら寂しい気もしてきましたが、どうぞ引き続きおつきあいください。