トランプ政権が発足すると、習主席は「米国が混乱して、力が衰えた」と勘違いし、中国内向けでもあるが「いよいよ中国の時代がきた」と舞いあがった。オバマ前政権に、南シナ海の人工島を軍事化しないと明言したのに、ミサイルを配備し、野心的な「一帯一路」計画を暴走させて、スリランカやカンボジアなどの軍港を借款のカタに取り上げるなど、傍若無人に振る舞いはじめ米国民に敵であると認識させてしまった。トランプ大統領の次の大統領も基本は中国を抑え込む政策を続けるでしょう。日本は戦後、曖昧模糊してきたツケが一気に噴出した形ですが、悪い膿は全て出し切り、健全な国家になるべきでしょう。それには憲法改正にも取り組む健全な対案を示す野党が必須なのかもしれません。又香港・台湾の混乱は対岸の火事ではなく、やがて自国に降り注ぐ火だとみなして、積極的に民主化を支持すべきでしょう。
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日本は72年前に占領下で強要された“平和憲法”と引き換えに、独立の気概を失って、北朝鮮から、ホルムズ海峡の安全航行まで、米国に頼っている。
中国の習近平国家主席は、台湾を軍事力を用いて「統一する」と繰り返し言明している。台湾が中国に奪われたら、日本は海上交通路を絶たれて、独立を維持することができない。
日本と台湾は一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にある。一心同体だ。それなのに台湾の安全も、米国に委ねて傍観している。
中国の日本に対する脅威が募っている。日本は米国なしに、まったく対処できない。日本を守るために、米国様々(さまさま)に、ひたすらお縋(すが)りしなければならない。
ところが、トランプ政権が2年前に登場すると、米国は「トランプ支持派」と、「リベラル派の民主党支持者」の真っ二つに分断された。日本がすがってきた米国が、国内対立によって頼れないようにみえた。
日本が危なかった! ところが、この危機を意外な助っ人が現れて、救ってくれた。中国の習主席である。
トランプ政権が発足すると、習主席は「米国が混乱して、力が衰えた」と勘違いして、「いよいよ中国の時代がきた」と舞いあがった。オバマ前政権に、南シナ海の人工島を軍事化しないと明言したのに、ミサイルを配備し、野心的な「一帯一路」計画を暴走させて、スリランカやカンボジアなどの軍港を借款のカタに取り上げるなど、傍若無人に振る舞いはじめた。
中国は、米国市場に経済を依存している。先端技術も米国から盗んできた。寄生虫のような存在なのに、米国に対して牙をむいた。言ってみれば、子会社が親会社を乗っ取ろうとしたのだ。
トランプ政権は、中国と正面から対決することを決断し、関税戦争を始めるとともに、中国へのハイテクノロジーの供給を絶った。米国では、中国の目に余る振る舞いに、民主党も中国を抑えつけようと、全国民が歩調を合わせている。
習主席が、分断されていた米国を団結させたのだ。そのために巨大な米国の力が損なわれることが、なかった。
加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家