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❝GDP損失は最善で2.3兆ドル、最悪で9.2兆ドル❞

2020-03-14 00:42:51 | スポーツ

国内の感染拡大防止に成功し、世界各国の感染拡大で結果的に五輪中止・延期となるケースの可能性が「首相の責任論は避けられる」(周辺)との見方が出る。その場合でも日本経済への打撃は深刻だが、「パンデミックはいつかは収まる。そのときのために大胆な経済対策を打ち出せば、首相の求心力は維持できる」(自民幹部)というわけだ。

 自民党内ではすでに「五輪開催が中止か延期となった場合には、半年か1年間に限定した消費税の5%への引き下げを打ち出すべきだ」(若手)との具体案も浮上している。「次期衆院選をにらむ野党側が消費税引き下げで足並みをそろえても、与党が引き下げを打ち出せば、衆院を解散しても野党の攻撃をかわせる」(自民選対)という策謀でもある。

 もちろん、「こうしたシミュレーションは、文字どおりの机上の空論」(自民長老)と揶揄する向きも多い。首相サイドも「コロナショックで年内解散論も吹き飛びつつある。感染が本格的に収束しなければ選挙ができるはずもない」(周辺)と苦笑する。

いつまでも「瀬戸際」が続く可能性も

 コロナ対応を協議する政府の専門家会議は3月19日に感染拡大の状況を判断する方針だ。今のところ、新たな感染者数が急増した日はなく、1日当たり数十人程度で推移している。

 専門家会議のメンバーの1人は「感染が急拡大しないのは、我慢強くて清潔好きという日本特有の国民意識が主要因」と指摘するが、専門家会議の有力者は「いつまで持ちこたえられるかわからない」と不安を隠さない。19日になっても踏み込んだ判断を示せず、「いつまでたっても瀬戸際が続く状況」(医療関係議員)も想定されている。

 そうした中、コロナ対応での緊急事態宣言を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案は13日中に参院本会議で成立し、14日にも施行される見通しだ。

以下抜粋コピー

世界保健機関(WHO)は3月11日(米東部時間)、新型コロナウイルスの拡大を「パンデミック(世界的流行)」と表明した。アメリカ国内でも、ウイルス拡大の先行きについて、厳しい見方をする報告書や専門家の発言が相次いでいる。企業や学校の閉鎖が続き、状況が一変してきた。

大統領の新型コロナウイルス対策チームのメンバーで、アレルギー・感染症国立研究所長のアンソニー・ファウチ博士は11日下院の公聴会で、激しい口調でこう言った。

「インフルエンザと同じようなものだという人がいる。しかし、インフルエンザの致死率は0.1%だ。新型コロナウイルスは、その10倍以上にのぼり、格段に死を招く確率が高い」

議員「最悪のケースが起きるのですか」

博士「イエス。基本的に今よりも悪化します」

というやりとりも、議会内の空気を緊張させた。

ファウチ氏はトランプ氏自身がインフルエンザと比較し、「インフルエンザの致死率の方が新型コロナよりも高い」と繰り返していることに警鐘を鳴らしている。

米有数のシンクタンクであるブルッキングス研究所は3月2日、「COVID-19が世界のマクロ経済に及ぼす影響:7つのシナリオ」という報告書を発表した。

それによると、各国政府の対応が適切ではなく、1918−19年に流行したスペイン風邪と同程度の感染率という最悪のシナリオの場合、新型コロナウイルスで死亡する日本人は57万人、世界で6800万人という恐ろしい数字を出している。

死亡者の推定は以下のとおり。

日本:最善のシナリオ13万人、最悪のシナリオ57万人

中国:最善280万人、最悪1260万人

アメリカ:最善24万人、最悪106万人

世界合計:最善1518万人、最悪6834万人

報告書は、アメリカでは、インフルエンザによる死亡者は年間平均で約5万5000人で、新型コロナの最善シナリオの5分の1程度だと指摘している。

また、世界の総生産(GDP)は、最善のシナリオでも世界で2.3兆ドル、最悪のシナリオでは9.2兆ドルが失われるという。国別の損失は以下の通り。

日本:最善1400億ドル、最悪5490億ドル

中国:最善4260億ドル、最悪1.6兆ドル

アメリカ:最善4200億ドル、最悪1.8兆ドル

報告書は、オーストラリア国立大学のウォーウィック・マッキビン教授とローシェン・フェルナンド氏が手がけた。新型コロナが世界経済に及ぼす影響を理解し、各国がウイルス対策に対し正しい判断をすることを目的としている。

両氏は過去のHIV、SARS、新型インフルエンザなどの影響に加え、経済成長率や各国の情勢などを考慮し、死亡者数などを試算している。

感染や死亡によって減少する労働力、製造網が乱れることで上昇するビジネスコスト、家計に及ぼすインパクトや消費の変化などの影響を分析した。その上で、GDPなど最善から最悪の7つのシナリオを紹介している。

一方、オンラインニュースのインディペンデントによると、ネブラスカ大学医療センターのジェイムズ・ロウラー教授は、アメリカでは人口の3分の1に当たる9600万人が感染し、48万人が死亡するという見通しを示した。2月26日に開かれた米国病院協会(AHA)のウェブセミナーで明らかにした。

ブルッキングスの報告書では、アメリカでの死亡者は24万〜106万人という見通しなので、ロウラー教授の見通しもその範囲内にある。

高齢者への影響は深刻で、新型コロナに感染すると重症となるケースが多く、80歳以上の患者の死亡率は14%に上る。70〜79歳では8%、60〜69歳は3.6%としている。

ロウラー教授は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領政権で国土安全保障会議の、オバマ政権で国家安全保障会議のメンバーを務めた。アメリカでは感染症対策は、国家安全保障会議の管轄である。またロウラー教授が所属するネブラスカ大学医療センターは、日本に停泊していたダイアモンド・プリンセス号で感染したアメリカ人乗船客を受け入れ、治療している。

ロウラー教授は新型コロナウイルス拡大で病院側が混雑などに対する準備を早めに進めることで、死亡者数を抑えることを促すため、感染者と死亡者の見通しを明らかにしたとしている。ネブラスカ大学は、インディペンデントに対し、見通しはロウラー教授個人のものだと断っている。

これらの報告書などに共通することは、世界の国家レベルだけでなく、地方自治体、医療機関、コミュニティなどの早めの対応がいかに重要かを強調している点だ。ブルッキングスの報告書は、緊急事態が起きていない場合に軽視されがちなヘルスケアシステムや、公衆衛生への投資がいかにダメージを抑えることができるかも訴えている。

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