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❝中国不動産バブル崩壊「内憂外患」逆資産効果❞若者が大学進学(ジャンプ台)から転落へ大量失業!

2025-01-06 05:19:08 | 日記
2025年の中国経済を一言で表現すれば、「内憂外患」といえる。アメリカ政府の経済制裁によりハイテク技術を入手できなくなった。日用品の輸出もアメリカ政府の制裁関税により難しくなる可能性が高い。中国国内に目を転じると、失業率を下げる有効な政策が講じられていない。
中国人若者の失業率が高騰している。直接な原因は3年間のコロナ禍をきっかけに数百万社の中小零細企業が倒産したからである。世界のどこの国でも同じだが、中小企業はもっとも雇用創出に貢献するセクターである。中国では、中小企業の99%は民営企業であり、民営企業は国有銀行から無担保で運転資金の融資を受けることができないだけでなく、政府の財政支援の対象外でもある。

景気が減速局面に入ると、中小企業の多くはすぐさま資金難に陥ってしまいがちである。コロナ禍が中国社会に落とした影は予想以上に深刻である。
中国では、若者にとって大学に進学することは人生のジャンプ台に乗るようなものである。エリートの若者の間で外国企業や大手民営企業は花形職業だった。しかし、コロナ禍をきっかけに、外国企業はサプライチェーンの一部を海外へ分散している。大手民営企業もリストラを余儀なくされている。とくに若者の失業率が高騰するなかで、現役の会社の給料も下方修正されている。こうしたなかで一般家計は生活防衛に走り、消費を控え消費性向が低下傾向にある。
一方、不動産バブルが崩壊し、不動産不況が長期化する様相を呈している。中国では、持ち家比率が高く、そのうえ、投資目的で二戸目、三戸目のマンションやアパートを保有する割合が高い。不動産バブルが崩壊したため、不動産投資を行っている家庭は逆資産効果により、消費を控えざるを得なくなった。
不動産バブル崩壊の影響は予想外の展開として地方政府に飛び火している。不動産バブルが膨らむプロセスにおいて地方政府は土地使用権(定期借地権)を払い下げることで巨額の財源を手に入れた。それをもとに地方政府は傘下の「融資平台」(日本の第三セクターに相当する)を利用して巨額の債務を借り入れた。しかも、その債務にはオフバランスの隠れ債務も相当の割合になっていると推察される。
習近平政権にとっての難題はフローのGDP伸び率を押し上げなければいけないが、同時にストックの地方債務も解消しなければならない。地方債務を解消しなければ、国有銀行への利払いが滞ると、国有銀行にとって不良債権になってしまう。場合によって金融危機に発展する心配がある。したがって、共産党中央経済工作会議で決定された地方債務問題を解決するための財政政策は間違ったものではないと思われる。ただし、それはあくまでもストックの債務問題を解決するためのもので、フローのGDP伸び率を押し上げることができない。 

中国政府の政策当局が根本的に間違っているのは、政策を実施して助けなければならない対象者の順番が間違っていることである。国有銀行と地方政府を救済する目的は状況がさらに深刻化するのを避けるためであろう。そして、中国政府は自動車や家電の買い替えを奨励しているが、これは消費者を救済するための政策ではなくて、生産者を救済するための政策である。この政策は生産を調整することについて有意義だが、有効需要を刺激することについて無意味である。
中国では、自動車メーカーと家電メーカーのほとんど大型企業である。これらの企業は雇用創出能力が限定的である。重要なのは中小零細企業を助けることだが、その政策が提起されていない。
とくに懸念されるのはトランプ政権2.0の対中経済制裁である。トランプ政権は中国との貿易不均衡を問題視している。2023年、アメリカの対中貿易赤字は2791億ドルに上り、アメリカのすべての貿易相手国のなかで最多だった。トランプ政権2.0が対中貿易不均衡を是正するために制裁関税を課すのは確実視されている。これは中国経済に深刻なダメージを与えると予想される。
2025年の中国経済を一言で表現すれば、「内憂外患」といえる。アメリカ政府の経済制裁によりハイテク技術を入手できなくなった。日用品の輸出もアメリカ政府の制裁関税により難しくなる可能性が高い。中国国内に目を転じると、失業率を下げる有効な政策が講じられていない。
では、なぜ中国経済は回復しないのだろうか。
2009年、リーマンショックのとき、中国政府は4兆人民元の財政出動を決定し発動した。当時、4兆人民元の財政出動によって中国経済の落ち込みが免れた。しかし、今回10兆人民元の財政出動が発表されたが、中国経済は成長に転じていない。その原因は15年前に比べ、今の中国経済の市場メカニズムが機能しなくなったからである。
習近平政権が発足してからの10年あまり、民営企業に対する締め付けが強化され、国有企業が再び市場を独占するようになった。結局のところ、市場経済の後退が中国経済の持続的な成長を妨げている。
繰り返しになるが、中国経済の減速は貨幣的な現象ではないため、いくら流動性を注いでも、中国経済を成長軌道に戻すことができない。根本的に問題を解決するには、抜本的な制度改革と市場経済型の政策を組み合わせて早急に実施する必要がある。とくに、外国企業と民営企業が安心してビジネスを展開できるように、法による統治を徹底することを約束する必要がある。
日本企業にとってリスクはより高く
最後に日本企業の対中投資戦略について述べておこう。日中経済は予想以上に一体化しており、相互依存関係が高い。日本企業にとって中国は有望な市場である。この点について今も変わらない。ただし、中国市場は決して簡単に攻略できるものではない。かつてに比べると、中国ビジネスのリスクは明らかに高くなっている。
日本企業は米中貿易戦争に巻き込まれないようにサプライチェーンを分散する必要がある。同時に、中国でのビジネス基盤をさらに固めるようにIn China for Chinaのビジネス戦略を強化する必要がある。したがって、日本企業にとって中国とのデカップリングではなくて、中国を市場として捉える一方、再輸出するための工場としての存在が弱くなると考えられる。
2025年は不確実性に満ちた一年になると思われる。グローバルビジネスもリスクがさらに高くなるだろう。日本企業はディフェンスの戦略とオフェンスの戦略をうまく組み合わせないといけないと思われる。
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