トランプ大統領の返り咲きで米中貿易戦争が激化する可能性が高まっている。
トランプ氏はその直後、メキシコとカナダの首脳と協議した後、両国に対する関税をそれぞれ1ヵ月猶予すると発表したが、中国に対してはこうした対応を取らず、現地時間4日午前1時1分、すべての輸入品に対して10%の追加関税を発動した。 これに対し、中国は対抗措置として「米国からのLNGや石炭に15%、原油などに10%の追加関税を10日から課す」と発表した。 中国側は米国の圧力に屈しない姿勢を示した形だが、対抗措置の中身を見ると苦しい台所事情が見えてくる。 トランプ第1次政権の際、中国は米国が課した関税とほぼ同額の関税で報復したが、今回の関税対象は140億ドル(約2兆1700億円)相当と、米国側が標的とする中国製品の規模と比べるとごくわずかだ。 1期目と異なり、中国経済が深刻な不況に陥っていることが関係している。
BYDの「不都合な真実」
不動産バブルの崩壊でデフレ圧力が高まっているなか、中国政府は製造業主導の輸出拡大で糊口をしのごうとしており、全面的な関税戦争は中国の利益にならないとの判断があるのは容易に想像できる。 中国の新興企業「デイープシーク」の生成AIが世界の注目を集めているが、中国経済全体は不況モードだ。 中国人民銀行は「昨年の人民元建て新規貸し出しは前年に比べて20%減少した」としており、企業が銀行から資金を調達する動きは著しく鈍化している。 期待の星である電気自動車最大手BYDにも「不都合な真実」が明らかになっている。 かつて中国恒大集団の財務問題を指摘した香港の調査企業GMTは、「BYDは下請け企業などへの支払いを遅らせることによって急増する負債額を覆い隠している。BYDの実質的な負債は昨年6月末時点で3230億元(約6兆4600億円)に達し、時価総額の半分近くを占めるまでになっている」との分析結果を発表した。
自動車業界も不動産業界の二の舞を踏むリスクが生じているのだ。
トランプが踏み込む「コロナ賠償」
かつて春節期(旧正月)を迎えると需要の拡大で各種物価が上昇したが、今は昔だ。 国民の間で節約志向は強まるばかり。就職難が一向に改善しない若者の間で特にその傾向が強く、日本の若者のように貯蓄に熱中している有様だ。 しかし、米国は中国に対して手綱を緩めることはなかった。トランプ氏はついにあのパンデミックの責任を中国政府に問おうとしているからだ。
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