インテルミラノのクラブオーナー蘇寧中国が破産を発表。
小売業界の巨人蘇寧中国がついに正式に破産申請を行った。中国経済の暴落を象徴するビックバンとなり中国経済全体に衝撃を与えた。かつては全国に1万店舗以上を展開し家電電子機器eコマースの分野でトップを誇っていた蘇寧しかし今や店舗は60%以上が閉鎖され負債総額は6.5兆元(136兆円)に達しまるでブラックホールのように消えていく資産を誰も止められなくなった。2010年代初頭に絶頂期を迎え海外進出にも乗り出し、イタリアの名門サッカークラブインテルミラノを買収するほどの財力を誇っていた。しかし今となってはサッカーよりも負債のゴールを決めるのが得意と揶揄されるほど経営が破綻している。ここまでの悲劇に陥ったのか?借金と時代遅れのビジネスモデルが原因だ。蘇寧の負債は中国のGDP成長率よりも早い勢いで膨れ上がりついに尽きる形となった。eコマース時代の到来で伝統的な店舗販売モデルは急速に時代遅れとなり競争力を失った。そこに追い打ちをかけたのが中国経済全体の低迷と消費者の財布の紐の締まりだ。悲劇を加速させたのが不動産市場の崩壊だ。蘇寧は不動産は不滅の投資と信じて大量の資金を商業施設や住宅開発に注ぎ込んだ。しかし現実は残酷だった。不動産で一発逆転を狙ったら逆に奈落の底に落ちた状態だ。蘇寧の崩壊は単なる一企業の破産にとまらない。これは中国経済
全体の氷山の一角に過ぎない。一方、中国政府は民間企業を救済するつもりはなく、国有企業を優遇し民間企業は自力で生き残れという冷酷な方針を貫いている。このまま行けば中国の民間企業は次々と倒産し外国企業も撤退を加速させるだろう。中国経済はまだ成長するなどという政府の公式発表を信じる人はもはや誰もいない。次に大きな衝撃を与えるのはまさかのBYDだ。この中国を代表するEV電気自動車メーカーが電動革命の旗手から電動破産の選者になろうとしている。まるで映画の続編のように中国経済の崩壊劇は次々と新しい登場人物を迎えながらさらに悲惨な展開を迎えている。
蘇寧、BYDは決算資金繰りの綱渡りが行われている。これはまさにかつてのの不動産帝国エヴーグランドグループが破綻する直前に見せたのと同じ症状だ。巨大企業が借金を膨らませ実際のキャッシュフローを隠しながら順調に成長していると宣伝する。しかし実際はただの借金バブルに過ぎず現金が回らなく
なった瞬間にドミノ倒しのように崩壊していく。第2次貿易戦争も深刻だ。
2018年2019年の貿易戦争の時は中国もそれなりに反撃できたが今回は違う中国経済はすでにボロボロの状態でアメリカの追加関税にまともに対応する余力はない。それどころか中国ができる報復措置はたったの14億ドル相当の米国製品に関税をかけることだけであり、まるで像に対して蚊さす程度の影響しか与えられない。外国ブランド企業の撤退を加速させている。ナイキ・アディダス・H&MZ・スターバックス・マクドナルドなどかつて中国市場なしでは生きられないとまで言われたブランドたちが次々と店舗を閉鎖し、中国から手を引いている。ナイキは30%以上の店舗を閉鎖、アディダスも縮小、H&Mは中国政府との対立から数百店舗を閉店、スターバックスは400店舗以上を閉鎖マクドナルドはもう無理とばかりに事業の大部分を中国企業に売却して逃げ出している。なぜこれほどの多くのブランドが一斉に逃げ出しているのか?答えは簡単だ。中国で商売する意味がないからである。第1に中国の消費者はもはや消費しなくなった。高級ブランドはもちろんのこと、ファストファッションやカフェチェーンで贅沢品とみなされる時代になった。ブランドにとっては客がいないという最悪の状態が生まれている。
第2に中国政府が外国企業にとって最悪のパートナーになりつつある。H&M
は新彊ウイグル自治区の強制労働問題について発言した途端中国市場での販売がボイコットされついには店舗を閉鎖せざるを得なくなった。外国企業にとって政治的リスクが高すぎる中国ではいつ自分たちのビジネスが政府の気まぐれで吹き飛ぶかわからない。だったら最初から東南アジアやインドのようなリスクの少ない市場に投資した方がよほど安全である。
第3に中国国内の競争が激化し外国ブランドはもはや勝てない。ナイキやアディダスが値下げをしても中国のスポーツブランドがより安い価格で競争し外国ブランドのシェアを奪っている。スターバックスが新店舗を出してもラッキコーヒーという中国ブランドが倍のスピードで新店舗を展開し価格も安い。
外国ブランドは中国ローカルブランドvs世界ブランドの戦いで負け始めたのだ。こうして外国ブランドは中国市場では勝ち目がないと判断し撤退を決め
た。これは単なる蘇寧などの小売業の問題ではない。外国企業が中国市場に対して未来がないと判断し始めたという事実が今の中国経済の厳しさを物語っている。これによって何が起こるか?中国内での大量の失業である。ナイキ・アディダス・スタバックス・マクドナルドの店舗で働いていた従業員たちは一気に職を失うことになる。サプライチェーンにも影響が広がり数百万人規模で職を失う人が出た。さらに中国経済にとって決定的にマイナスなのは外国企業の投資が止まるということだ。外国ブランドが撤退するということは単に店舗が減るだけではなく、もう中国に投資する価値がない。と企業が判断したことを意味する。ナイキやアディダスのような大手が撤退するならこれから中国に参入しようとしていた企業はどうするだろう。当然やめておこうと考えるに決まっている。結果として外国資本の新規流入が止まり中国経済はさらに縮小して
いく。今後トランプ大統領が再び関税を強化すればさらなる企業が中国市場から手を引くことになるだろう。こうして中国はかつての世界最大の消費市場から世界最大の空店舗市場へと変貌している。北京や上海の一流ショッピングモールにはかつてスターバックスやZARAが並んでいたが今ではテナント募集中の張り紙が並んでいる。中国政府がいくら経済は回復している。と発表しても
現実はそうではない。なぜなら企業は中国政府の数字よりも実際の売上と利益で判断する。そして今世界中のブランド企業が中国ではもう稼げないと決断し次々と撤退しているのである。かつては世界の工場と言われた中国が今や世界の空ビル・空店舗王国になろうとしている。この撤退の流れはもうどうにも止められない♬
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