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【中国バブル崩壊番付】不動産暴落をきっかけに商品在庫を放出、AIも下落トレンド深刻化?

2025-02-06 03:40:09 | 日記
中国経済がヤバい。不動産価格の下落をきっかけに、1989年の天安門事件以後では最も厳しい景気後退に陥っている。
ただ、スゴい話もある。輸出は絶好調だ。衣料品など昔ながらの低付加価値産業に加えて、EVの躍進やスマホ、AIといったハイテク製品まで世界トップ級の輸出を誇っている。昨年貿易黒字は9921億ドル(約154兆円)と過去最多を更新した。
AIではすでに泥沼の価格競争が始まっている。EVと同じく新時代の覇権を握ろうと、AIベンチャーに投資マネーが殺到した。超大型大規模言語モデルを自主開発する企業が複数ある国は米国を除けば中国ぐらいだろう。
開発されたAIはどれもレベルが高い。となると、あとは価格勝負。IT大手アリババが昨年5月に「AI利用価格97%値下げ」を打ち出すと他社も追随し、価格競争がスタート。体力のある大手はともかく、ベンチャーには苦しい。早くも経営危機が噂される企業まで出ている。

中国では2021年後半から一部地域から不動産不況が始まった。3年半が過ぎた今はほぼすべての地域で値段は下がり続けている。不動産はGDPの3割を生み出す巨大産業で、その落ち込みが経済に与える影響は大きい。国だけではなく、庶民の懐に与えたダメージも甚大だ。
社会主義国・中国で不動産取引が自由化されたのは1990年代末のこと。以来、右肩上がりのトレンドが続いてきた。
長く上げ相場が続くと、中国人民は「マンションは永遠に値上がりする」という神話を信じてしまった。無限に値上がりするから早く買ったほうがいい、買えば資産は勝手に増えていくのだから。
というわけで、中国人の資産の約70%が不動産となっていた。日本の倍という高水準である。利回りも良く安全という最強の投資手段だったので、「隙あらばマンション購入」が中国式人生必勝法となった。1世帯1軒という規制をかいくぐり、2軒目のマンションを買うために偽装離婚するなど、裏技が駆使された。
長い不動産バブルは中国社会を変えた。
例えば、結婚前に新郎がマンションを購入するという"文化"だ。昔から続いていたようにいわれているが、実は20年ほど前から広がった新しい風習だ。不動産さえ持っていれば一生安泰、堅い仕事に就いているかどうかよりもマンションを持っているかで頼れる男かどうかの判別基準になる。
この10年ほどは「新城」(ニュータウン)がブームとなった。都心は値上がりしすぎて手が出ない。だったら、ド田舎に巨大な団地を造成すればいい。日本でもバブル期に造成された住宅地が荒れ果て、今では「限界ニュータウン」と揶揄(やゆ)されている。
それと似ているが、中国が特異な点は宅地ではなく、高層マンションを造っていること。というのも、食料安全保障の観点から畑を潰す許可はなかなか下りない。荒れ地の真ん中に20階建てのタワマンが数十棟も林立しているのは、なんとも異様な光景だ。しかも、住民はほぼゼロ。夜になっても明かりがついている部屋はない。
こうした幽霊タワマン団地が全国に無数にある。ちなみに住民はいなくても買い手はいる。住むには不便でも資産としては問題なしと考えられていた。
最初のうちは「1年ぐらい我慢していれば、また値上がりするだろう」という様子見が多かったが、長引くにつれ、いつまで下げ相場が続くかわからない、どこまで値下がりするかわからないとの悲観派が増え続けている。
■自動運転もAIも中国テックがキテる
個別の業種や企業には、イケイケ絶好調も少なくない。
一つの例は自動車だ。中国は日本を抜き、23年から自動車輸出世界一だ。NEV(電気自動車とプラグインハイブリッド)の成長もすさまじい。24年は販売台数で前年比36%増の1287万台を記録。世界で売れているNEVの4台に3台は中国製だ。
量だけではなく、質の向上もすさまじい。ファーウェイが発表したEVブランド「マエストロ」は限定車以外では世界初となる自動運転レベル3を実現した。デモ映像を見ると、大雨を検知して自動で地下駐車場を脱出し高台まで移動。空いている充電ステーションまで移動して自動で充電といった未来技術を披露している。

一方、中国の不動産価格下落は21年後半から始まった。長期化する中で、不況は消費低迷にまで拡大している。象徴的なのが中古ブランド品だ。以前は日本の質屋に中国人旅行客が殺到。そればかりか、卸売りオークションにも中国事業者が参入し、中国に輸出されてきた。 
しかし、不景気で中国のブランド需要は激減してしまった。エルメスのバーキンなど、トップオブトップはまだ価値を保っているが、二線級のブランドは新品も売れず、中古価格も下がっている。
日本の中古ブランド品の輸出ビジネスを手がけている劉さん(仮名40代、女性)によると、新品の半値ぐらいで取引されていた中古ブランド品が7割引き、8割引きまで下がったという。
そこで今度は、中国の中古品を日本や欧州に販売しようという真逆の動きが始まっている。劉さんも上海に法人を設立、中国で仕入れて欧州に売るビジネスに着手した。
バブル崩壊はほかにもある。中国でのジャパニーズウイスキーブームは有名だが、中国酒業協会によると、24年上半期の輸入額は24.4%減。「マーケットから熱狂とバブルが次第に消えていく」のだという。それでもウイスキーは全世界で売れる商品。中国バブルの崩壊は痛いが、ほかにも買い手がいる。
もっとヤバいのが白酒(パイチュー)だ。中国の銘酒・マオタイ酒はともかく高い。ワインのように古いものほど高値がつくので、投資目的で買い占める人が多く、値上がりが続いてきた。
そのバブルも終わり、下落トレンドに入った。今年の旧正月商戦の取引価格は前年比で約2割減だという。今後も値下がりすると判断されれば、転売ヤーたちが在庫を放出。さらなる下落に向かうかどうかの瀬戸際だという。
ひとつネジが外れると、ガタガタと全体が崩れてしまう。今の中国は不動産価格下落をきっかけにさまざまな問題が噴出している。ただ、全部が全部ダメ、中国ビジネスはもうオワコンと考えるのは早計だ。
不景気なときは不景気なりの稼ぎ方、ビジネスチャンスがある。今、中国で注目を集めるのが日本式ビジネスだ。
「失われた30年」で鍛えてきたコスパ重視のサービスや商品は、不景気の中国でも注目され、サイゼリヤは中国外食の勝ち組として主要都市に続々と出店。スシローをはじめとする回転ずしも原発処理水問題などどこ吹く風の大人気。ユニクロやニトリなど、お値段以上の価値を持つハイコスパブランドに注目が集まる。
中国企業も100円ショップ的な「9.9元」(約212円)ショップなど、あるいはコーヒーショップやレストランでも9.9元均一が一般人に支持されている。
不景気とデフレの先駆け、日本式ノウハウが中国で活用できる余地は今後も多い。

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