福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

先ほどトランプ大統領が記者会見で日本の皇室や伝統・文化が素晴しいと・・

2019-05-27 | 法話
先ほどトランプ大統領が記者会見で日本の皇室や伝統・文化が素晴らしい国であると感動していました。こういう日本は一朝一夕にできたものではありません。千年以上に渉る日本人の深い精神性に支えられているものです。この日本人の深い精神性を作り上げてきたのが指導者・僧侶等の聖職者・庶民です。
それぞれが素晴らしかったから今日世界から尊敬される日本人の国民性ができたのです。

1、まずなにより昔は僧侶が優れていたことがあげられます。つい最近までは高僧・名僧といわれる僧侶が必ずいました。為政者も庶民もそういう僧侶の存在をを心の糧にしていました。

2、次は為政者の側の仏教信仰です。明治以前の歴代の為政者も仏教を国策としてきました。聖徳太子の十七条憲法の「あつく三宝を敬え」や、聖武天皇の国分寺・国分尼寺の建立にはじまる為政者の側からの仏教信仰はその後の為政者の国策にも引き継がれ太政官符、院宣等の殆どが神社仏閣に関するものになっていますし、花山信勝「日本仏教」には歴代多くの天皇陛下皇太子殿下が御出家されている例を書いています。「・・・江戸時代にはいってもなお、第百八代後水尾天皇・第百十二代霊元天皇と我が国歴代の天皇がひとしく落飾したもうて、御親ら法体とならせたまひ、我が国家の為に興隆三宝の聖業を継承したもうたのである。「法親王」は実に百七十位の法親王が出でました・・」とあります。

3、庶民も深く仏教を信仰しました。特に先祖供養と仏教は切っても切り離せないように日本の庶民信仰に浸透し日本人の精神性を底流から形作りました。
五来重「先祖供養と墓」には「日本の宗教は、霊魂の宗教です。日本の宗教はまず死者の霊から出発して、それが清められて祖霊になり、全く浄化されて神になるという、死霊・祖霊・神の宗教です。また、自然崇拝の宗教です。山河草木鳥虫動物は、すべて魂を持っていると考えますので、日本人はそういうものを供養するという考え方があります。虫供養や牛馬供養があったり、木を供養したりするのは、一種のアニミズムですが、日本人にはそういうものが源泉にあります」
・五来重『熊野詣』「いまでは墓にまつる死霊の浄化されたものが、寺でまつる祖霊であり、祖霊の昇華したものが神霊として神社にまつられたという霊魂昇華説は、民俗学や宗教学ではうたがうもののない仮説である。」
・日野西真定「高野山の秘密」「両墓制の時代には、遺体は山の向こうの山麓に埋められ、墓は生活空間に隣接して見える山の斜面に設けられます。そしてこの近辺に寺ができます。この寺で死んだばかりのご先祖さんの魂が清められ、山の頂上には神社がありました。ここが清まった御先祖さんの魂が集合する場所だったのです。つまり氏神様です。・・そしてここに循環が生まれます。山の麓の生活空間にいる住民は絶えず、墓や神社を仰ぎ見て拝みます。さまざまな厄災から身を守り農作物をもたらしてくれる氏神様を頼りにしているわけです。節目節目は氏神様のためのお祭りが行われます。氏神様はもとはご先祖様ですからその魂を清めるための先祖供養も丁寧に行われます。一方死んだものからすると、子孫を守る性格のものに誰もがなれるわけです。そこの生活空間にいるものは、死んだらご先祖様の塚に入り、供養を受け、それがすむと今度は氏神様の世界に入って子孫を守ることができるわけです。だから生きている者にとっては死んでも楽しみです。・・将来的にはその地域の人を救う仲間になって永遠に生きることができるわけです。最後には人を救うというのが先祖供養なのです・・」
等とあります。

4、いまはこの三つの要素何れも大きく欠けてきています。今後日本及び日本人がどのような歴史を辿るのかは我々一人一人の日本人に重く圧し掛かる課題だと先のテレビ中継を見て感じた次第です。
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