第二二課 敵、味方
一、敵が相手側にばかりあるかと思えば自分の中にもあります。自分の中にある敵を「反省」といいます。
「反省」が出て来るということは辛いものです。自分が二派に分れてその一方が今まで味方だとばかり思っていた一方の自分をたちまち衣を奪って追い散らすのですから、そして新しく起った自分の中の敵が勝鬨かちどきを挙げるのですから、こんな苦々しい事はありません。
しかし、この苦々し . . . 本文を読む
第二一課 橋は流れて水は流れず
私たち鰹節をナイフで削るときには、鰹節を確しかと握り押えてナイフの方を動かして削ります。鰹節を橋とし、ナイフを水としますと、この場合は、この章の標題とは反対の「水は流れて橋は流れず」であります。それは当然あたりまえのことです。
しかし、鰹節削りの鉋が出来て鰹節を削るときには、今度は鰹節の方を動かします。この場合には橋に譬えた鰹節の方を動かし、水に譬える鉋 . . . 本文を読む
第二〇課 試合の練習
試合をあまりに試合第一と思い過ぎ、凝り過ぎる結果は、却って硬くなり思わぬ敗を取ることがあります。
また練習を練習だけの張合いのないものと心得、身を入れなければ、いくらやっても実みになりません。
日本曹洞宗の開祖、道元禅師のお言葉に「修業と効果とを二つのものに見てはいけない。修業しているそのことが効果であり、効果を得つつあるそのことが修業なのだ。なぜとい . . . 本文を読む
私たちは今から22年前に仏縁により結ばれた再婚の夫婦です。
今思えば、当時主人は「奇病」「難病」「業病」にかかっていたのでしょうか。胸を患っていた主人は毎年春先になると十日ほど寝込んでいました。病気のことを知らされてなかった私は大きなショックを受けましたが、わたしの行う大蒜灸が主人の健康を蘇らせました。
私たちは真言宗の家に育っていますが、分家なので家にご本尊がありません。そこで36番波きり不動様 . . . 本文を読む
第一九課 好き嫌い
人間に心があり、心に感情がある以上、だれにも好き嫌いの気持ちがはたらくのはあたりまえです。それを好いてはいけない、嫌ってはいけない、と道学一ぺんに叱ってしまったら、目も鼻も撫でて延ばしてしまった顔のようなのっぺりした人間ばかりになってしまうでしょう。
松や桜や、梅や竹や、その百木千草の変化があって自然の風光が面白いように、人間に好き嫌いの気持ちの陰影があってこそ、む . . . 本文を読む
第一八課 勇気
勇気はその背後に信念がついていなければ正当に保つことも、永続させることも出来ません。論争するにしても、争闘するにしても、あるいは貧苦、煩悩を征服しようとしても、何か一定不変の信念を持たなかったなら、折角奮闘努力しようとする勇気も正当の勇気とならないで、蛮勇となり乱暴とさえなり終るのであります。正義の戦とか、御国のためとか、陛下の御ためとか、あるいは自分の奉ずる正しい主義の . . . 本文を読む
第一七課 誘惑
むかし、あるところに老婆がありましたが、一人の禅僧に庵を建ててやり、衣食を送って修業を資たすけておりました。二十年間それを続けました。そこで老婆が思うのには、もうあの禅僧もかなり修業が積んだであろう。一つ試してみよう。老婆はどんなメンタルテストをしたかと言うと、自分の腰元の中でも、年頃で一番美人の女を選びまして何やらそっと命令いいつけ、かの禅僧の修業している庵室へ行かせま . . . 本文を読む
(釈法身品第十三の続・・)
八者普賢ノ行ヲ記ス
器界に生滅有リ。有情能ク業ヲ作ス 理事諸行ヲ成ス、皆是
普賢ノ行なり。今将に普賢ノ行ヲ説ク。即ち其ノニ有リ。一には惣、ニには
別。一惣ノ普賢とは、一切ノ諸法に体相用有リ。体ハ即ち文
殊なり。相ハ是れ普賢なり。用ハ皆観音ナリ。経二云く、普
賢ノ身中に皆三世一切ノ境界ヲ見ル。四大ノ相現は是レ普賢
なり。萬像ノ差別は普賢二非ト云コト無シ。四聖ノ修行は、 . . . 本文を読む
古い新聞ですが平成18年1月4日付産経新聞に「認知症予防の効果立証、写経で脳イキイキ」とする記事がありました。概要です。「川島隆太東北大教授と学研の共同調査で、平成15年から翌年にかけて仙台市内の高齢者延1千人を対象に、オセロゲームやクルミ握り、はり絵、あやとりなど高齢者の脳の活性化に役立つとされる160種類を実験したところ、写経が前頭葉、頭頂葉の左右いずれも最高の活性化数値プラス3を示した。百人 . . . 本文を読む
・・・口では、いろいろに言いますものの、誰しも誤解された時くらい、世にも果はかない気持ちはありません。心の底から腐って、生きる力も張合いもなくなるのであります。しかし、そのときです・・ . . . 本文を読む
・二者時赦ノ不同ヲ鑒(かん)ス
根機は一順ナラ不。時教ハ各―不同ナリ。差別ハ輪廻ノ業、一に入レハ解脱ヲ得、今略シテ三、五ヲ示メシテ諸師ノ異解ヲ鑒(かん)ス。
一ニハ南天ノ祖師、仏法ヲ分テニト為ス。謂ク教内教外是ナリ。即ち如来ノ正法、口二望ルヲ教卜為シ、心二望ルヲ禅ト名ク。
二には南方ノ慧観師、一代聖教ヲ分ッテ五時となす。
三には光宅寺ノ雲法師、四教ヲ立テ聖教ヲ判ス。
四には斉朝ノ曇鸞法師、二教ヲ . . . 本文を読む
今回ソチのスケートで浅田選手が前日の転倒によるダメージから回復して完璧な演技をして世界中を感動の渦に巻き込みました。ほとんどの人が涙を流したのではないでしょうか。今回の試合で浅田選手は他の成績上位者のだれよりもフィギイヤスケートの歴史に残る選手となったのではないかと思いました。
「史記 南越伝」に「禍によりて福となす、成敗の転ずること、譬ば糾える纆のごとし」という一文があります。我々 . . . 本文を読む