観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・23/27
七、聖観音の事。六観音の総体也。餘は皆一機一縁に対して化導に趣く時、暫く六種の身を示現し玉ふなり。六種未分の處は聖観音也。されば弥陀の脇侍の菩薩極楽補處の大士とは聖観音也。さて此の菩薩の種子をば「さ」字也(梵字。原文は「ま」となっているがあやまりか)。尊形は左の手に未敷蓮華を持って右の手に五指を伸べ玉ふ
而るに左未敷蓮華は迷へる衆生を表し右の . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・22/27
六、観音罪人の苦に代わり玉ふ事。法華傳に云ふ、修行者のありしが越中の立山に参り地獄廻をする時、或岩の上に女人一人居たり。修行者是を見ておそろしく思處に此の女のいふやうは我は近江國がもうふの郡の佛師の娘なり。父が佛を作て我を養たりし過によって地獄の落ちて有と語るなり。修行者の云様は其れならばなにとて心安げに地獄を出てそこに居るやと云へば女の云やう . . . 本文を読む
人となる道、略語(慈雲尊者)蒼々たる長天、物あり理あり。流行して道となり、うけて命となる。雲ゆき雨ほどこして品物形をしく。羽あるもの空中に翔り、蹄なるもの林藪に走る。その中人の霊たる、天地にまじはりて三才(天・地・人)と称す。拡て是を充す。一木一草も小天地なり。蠉飛蝡動(けんぴぜんどう、這うもの、体をくねらせうごめくもの)も一天地なり。相視て逆らふことなき、恩、禽獣に及び徳、草木に被る。世に処して . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・21/27
五、禅那維那姫の事。
昔天竺のある國に二人の長者あり。一人をば禅那長者と名く。一人は維那長者と名くるなり。各々姫を一人つ゛つ持ちたり。禅那長者の姫、無比の美人なり。維那の娘以外の悪女なり。此の二人の姫を内裏へ召されて帝王の近處に召仕へらる。而るに禅那の娘は美人なれば太子御寵愛なり。されば公卿殿上人も皆尊敬さるるなり。さて維那の息女は悪女なれば . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・20/27
四、十九説法の事。
現身が丗三身ならば同じく説法も丗三なるべし。何ぞ十九の説法を挙るやと云に、經文には略して餘多の身を一處に挙げて其の下に一の説法を挙なり。故に經文に「而為説法」と云處十九ある故に十九説法と云なり。實には現身の如き説法の説法もあるべきなり。十九説法の相皃(相貌)の事。佛身を現じては阿耨菩提の法を説き、又佛身を現じては十二因縁を . . . 本文を読む
華厳経巻三十一佛不思議品第二十八の一「・・一切諸仏はすべては不生不滅でそれを受け取る存在と云うものはないことを知り、色受想行識も不生不滅であり、すべては皆悉く実体はなく知覚もないと知る。宇宙の所有者はなしと知って而もまた一切のものの姿を壊すのでもない。一切はそれを起す者があるのでもなく、悉く虚空の如く、一切のものは実体がなく従って業の報いがあることもなく、学ぶものも無く、成就ということも無く、数も . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・19/27
三、 三十三身の義の事
別の丗三身とは十界に三諦を具れば丗、観音の三諦を加て丗三身と云に、所詮種々無量の身を現じて衆生を利益し玉へども十界の身を現じ玉ふ外には之無き故に丗三身と云も外には之無し。而に衆生自然と観音の利益に預かる事たとへば月も下り下らず、水も上り上らず、而も . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・18/27
二、祇陀末利唯酒唯戒の事。(「未曾有因縁経」では祇陀太子や末利夫人が不飲酒戒をやぶって飲酒しても戒を守ったことになるとしている)。
天竺の舎衛國の祇陀太子の后阿首舎國第一の美人也。名をば末利婦人と申す也。しかうに祇陀太子大酒ありて酒を飲玉はざる時は以ての外に機嫌あしふして臣下を殺し非道を行玉ふ。故に后は常に能き肴を求め酒を調へ用意して太子に奉 . . . 本文を読む
佛説大輪金剛總持陀羅尼經
如是我聞。一時、佛、王舍城耆闍崛山中にいまして大比丘衆千二百五十人と倶なりき。復た菩薩摩訶薩三萬六千ありて上首たり。爾時世尊、般涅槃に臨む後、佛法滅せんとする時、比丘比丘尼優婆塞優婆夷天龍八部、前後に圍遶し共に會して説法せんと。爾之時にあたり執金剛神ありて其の法要を問ふ、「世尊般涅槃後、總持の法
門云何んが受持せんや」。佛執金剛神に告げたまはく「善哉善 . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・17/27
一、丗三の釋の事。三聖六天小王四性四部四姓女童男女八部金剛神也。三の聖とは佛身・声聞身・縁覚身也。初に佛の事両巻の疏に云、先ず佛を明かすは應佛とやせん化佛とやせん、但し聖人物に逗するに具に二義あり。若し一時に忽ちにあるを名けて化と為し、始終に應同するを名けて應と為す。此の文を尋が為に應の義を明かす。機縁の宜しきに随って應化身を現ずること不定なり . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・16/27
観音經功徳鈔下目録
一、三十三身の総釋の事
二、祇陀末利の事
三、三十三身の義の事
四、十九説法の事、同依報をも化し玉ふ事、布施の事。
五、禅那維那の姫の事
六、観音罪人の苦に代り玉ふ事、千眼の事。
七、聖観音の事
八、摂折二門の事
九、感應同時の事、定業轉不轉の事。
十、慈童仙人と成る事、持地の十法の事。
十一、自在の業 . . . 本文を読む
業に「三世四業」「因果四報」の種類がある。「三世四業」には 順現業・順次業・順後業・順不定業がある。・順現業とは、現世に善悪業因をなして現世にその賞罰を受けるもの。・順次業とは、現世に善悪業因をなして次の世にその賞罰を受けるもの。・順後業とは、現世に善悪業因をなして三回目以降の世にその賞罰を受けるもの。・順不定業とは、つよい善悪を造ってないため、報いを受ける時期が定まっていないもの。「因果四報(結 . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・15/27
十五、 女に七と三との苦ある事。乗仙僧都の事。
輔正記(法華経文句輔正記)に云、女に七の苦あり。一には形悪く生れ付たる事を苦に思ふなり。二には嫉妬の苦なり。夫が余所へ行くは心もとなく思ふなり。三、嫁姑のなかの悪しき苦なり。四には愚痴してさしてなきことを悔やむ苦なり。五にはものをいふ事多くしてもずのさへずる如くなり。我が . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・14/27
十四、 煩悩即菩提の事。無碍講衆の事。
衆生一心がひがめば煩悩といはれ、此の一心をひるがへして正路に向へば菩提の智恵なり。故に煩悩も菩提も共に一心の功能なり。之に依りて恵心の往生要集には花のたとへ取りて釈せり。一の木に花開く秋は菓をむすぶなり。花と云も菓と云もただ是一本の木の徳義なり。今煩悩、菩提と云ふも此の如く一心が . . . 本文を読む
観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)…13/27
十三、 盗人発心の事。眼清といふ佛師の事。丹波ゆるたの観音の事。摩藤迦女の事。
昔大唐に法道といふ者山に居す。あるとき盗人来て衣裳をうばひとるなり。剰へ此の事を人に告やせんとてこの法道を木に縛り付けてをき、ゆみを引て箭をはなさんとするに箭がとりついてはなれず。又別のやをはむるもとり付いてはなれず。このとき盗 . . . 本文を読む