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プロ編入試験
社会 世界 歴史
/
2005年11月27日
こんなことがあった。
ロサンジェルスに将棋の普及に来た棋士、木村義徳氏、武者野勝巳氏らを
車でロングビーチのチェスクラブに送っていって
将棋の歴史を紹介するフィルムを翻訳しながら映写した。簡単と思ったが
そのとき、自分が将棋についての専門用語を英語でどういうのか知らないことに気が付いた。
汗をかいてわけのわからないことを口走りながらなんとか終えたがまともには伝わらなかっただろう。
日本固有の文化を世界に普及するのは大変なことなのだなあと思った。
将棋アマチュア強豪として知られた瀬川晶司さんが
3勝をあげれば合格、4敗で失格という条件のフリークラス編入試験において
第1局 2005年7月18日 佐藤天彦三段 ●
第2局 2005年8月14日 神吉宏充六段 ○
第3局 2005年9月17日 久保利明八段 ●
第4局 2005年10月10日中井広恵女流六段○
第5局 2005年11月6日 高野秀行五段 ○
という3勝2敗の成績で合格された。
かれは1970年3月23日横浜市生まれで
1984年 安恵照剛七段門下で奨励会6級入会
1992年三段リーグ入り 羽生森内と同世代世代
1996年 25才までの年齢制限により退会
その翌年神奈川大学法学部に入学。卒業後、NEC関連会社のワイイーシーソリューションズ入社。
第53回アマ名人優勝 第19回マ王将優勝など好成績をあげ
アマチュア選手としてプロの棋戦に参加し、対 プロ棋士 17勝6敗(0.739)という成績を収めた。
銀河戦本戦でトッププロのA級久保利明八段にも勝ったことで、注目されたが
現行の制度ではふたたびプロ棋士を目指すことができない ので、
プロ入りを求めて日本将棋連盟に嘆願書を 提出し、それを受けて
日本将棋連盟は2005年5月26日の棋士総会で、瀬川氏にフリークラスへの編入試験実施を可決した。
将棋界にとって大英断だった。
それによってにわかに世間の耳目を集め社会現象になった。
ニュースで瀬川氏の勝ち負けが報じられ世間が一喜一憂した。
こんな例は、61年前の昭和19年に東海の鬼」花村元司氏が升田幸三氏の推薦で審査を受けて付け出し五段でプロ棋士になったことだけだった。やはりアマチュア棋界で活躍した遅咲きの花小池重明氏の場合は門前払いだった。どこの世界でも大器晩成型も活躍しているのに将棋界が早熟の棋士しか迎え入れないのはわれわれ一般人には偏狭としか思えない。今回の瀬川氏の場合は幸運といえる。
どんなときもあきらめてはいけない。将棋界の重い扉が61年ぶりに軋みながらも開いたのだ。
その瀬川氏編入試験ドキュメンタリーTBSテレビ「バース・ディ」が
11月15日(火) 深夜24:25~24:55 に放送された。
妻は将棋のことは何も知らないがそれを見て感動して泣いていた。
羽生七冠王誕生以来沈滞していた将棋界に一般人が感動するドラマが今回生まれた。
日本の誇る文化のひとつである将棋の灯を消さないようになにかの力が働いたのだろうか。
インターネットの爆発的な普及によって時代は急速に動いている。
渡辺明竜王のようにブログを毎日更新してファンサービスしている若手棋士も出てきた。
大変なはずなのに対局以外の日には続けておられる。すばらしいことだ。
将棋界もそのあたりに希望が見える。
残念なのはいまだに外国人棋士がいないことである。様々な制約が多すぎて
今の制度では無理だろうがネット世界では地球規模で将棋が指せる。
そのうち外国人でも日本の専門棋士に匹敵するほどの指し手が現れるだろう。そのときどうするかである。
将棋と並んでアマチュアとプロの差が一番大きいとされた相撲界も転進を図り外国人力士を育成して高見山、
小錦、曙の三段ロケットでついに横綱にまでなった。ハワイ、アジア勢から現在は
琴欧州のようにヨーロッパ勢の台頭する時代を迎えた。伝統にとらわれてそれを否定してはこれからの相撲界の発展は望めない。
将棋界も将来、外国人棋士との対戦が組まれて世界将棋名人戦などが行われればそのとき将棋は日本固有の文化ではなく世界的文化としての地位を得ることになる。一素人ファンとしてはそんな時代を夢見ている。
fumio
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