中国依存のEU支援に強い慎重論 ならば日本が救え
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3237
ユーロ圏の高債務国を救済する欧州金融安定基金(EFSF)のレグリング最高経営責任者が中国に出資を要請したことを受け、英メディアを中心に慎重論が巻き起こっている。
フィナンシャル・タイムズ紙は1日付社説で「中国は欧州の足元を見て、見返りを求めてくるだろう」「欧州はそれ相応の対価を支払うことになる。人民元切り下げや中国の人権問題への批判を押さえるよう求めてくるだろう」と指摘。
BBCニュースは7日付で、イギリス生まれの歴史学者で米スタンフォード大教授のイアン・モリス氏が、西洋から東洋への勢力移動(power
shift)の観点から、中国に頼るべきではないと主張している。以下要点。
・1911年10月、中国で革命が起こった。4カ月後、清の皇帝が倒れ、ヨーロッパの金融関係者は群れを成して北京を訪れ、破産した新しい国に金を貸そうとした。2011年10月、ヨーロッパの金融関係者は北京に向かったが、レグリング氏はお金を貸すのではなく、ヨーロッパを経済危機から救ってくれるようお金を借りに行った。
・1世紀で中国は、立ち行かない国から「世界の銀行」になった。これは歴史上、最も大きな変化だ。
・資産総額4000億ドルにのぼる中国の政府系ファンド、中国投資公司の金立群(JinLiqun)議長はインタビューで「EU危機は疲れ切った福祉社会の問題で、労働法制が国民を働かせるよりも、怠け者を生み出している」と語った。
・ヨーロッパはどうすればいいか。歴史を見直すことで答えがわかる。150年前、中国と日本は西洋の砲艦や金融業者が進出し、ともに政府が崩壊した。その後、中国は海外から資金を借りたが、それを無駄遣いし、西洋諸国に依存した。日本の統治者は手持ちの資金を国内の産業振興につぎ込んだ。1911年までに日本は大国となり、中国はアジアの病人となった。
・1世紀半後、EUは同じ選択に直面している。ヨーロッパは日本が選んだ道をとるべきだ。
つまり、中国に資金を頼ることはヨーロッパ崩壊への道であり、そうではなく、日本の明治維新に学ぶべきだという主張だ。もっと言うならば、日本に資金を頼ってもいいだろう。09年、サブプライムローン危機の際、日本はIMFに対し世界に先駆けて10兆円を拠出した。それがきっかけとなって世界恐慌への道を食い止めた実績がある。
日本の民主党政権には、「日本がEUを救う」などと思いもよらないことなので、ぜひEUサイドから声を挙げてほしいものだ。(織)
【関連記事】
2011年8月7日付本欄 財政危機の米欧を、中国が思うように支配する?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2577
中国の不動産バブル「世界史上最大の崩壊劇」の幕開け
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3250
10日付産経新聞で、本誌でもおなじみの石平氏がオピニオン記事を書いている。
同記事の主旨は以下の通り。
・北京市内では、1週間で分譲住宅の平均価格が12・4%も下落。不動産価格下落の動きは全国の地方都市に広がっている。杭州の住宅価格の値下げ幅は10〜20%、南京は約10%など。突出しているのが上海で、20%から40%の値下げが実施されている。
・暴落をもたらした最大の原因は、中国政府がインフレ抑制のために実施してきた金融引き締め政策。その結果、不動産への投機資金が急速に枯渇して価格の暴落が起きた。
・今後もインフレ傾向は続き、政府は金融引き締め策を堅持するだろう。すると、不動産価格の暴落は誰も止められない。世界経済史上最大の崩壊劇は今、目の前で演じられている。
「バブルだ」と言われ続けてきた中国経済の驚くべき実態が、石平氏の近著『【中国版】サブプライム・ローンの恐怖』にくわしく書かれているので、あわせて読むと流れが分かる。こちらからも要旨を紹介しよう。
・2008年リーマン・ショック時に中国の不動産バブルは崩壊しかけたが、翌09年春になると、突如息を吹き返して不動産バブルが再燃、史上最大の勢いで上昇した。
・その原因は、中国政府による「徹底した財政出動」と、年間115兆円もの「集中豪雨式の新規融資」。この金額は中国のこの年のGDPの3割近くにもなる(これが中国GDP急増の正体だ)。
・この大量のお金が、実体経済を伴わない「不動産投機」に流れ込んだ。2009年の不動産購買者の8割が「住むためではなく、投資目的で不動産を買った」という。
・しかし、政府がお札を大量に刷った結果、深刻なインフレが発生した。政府は躍起になって政策金利を引き上げるなど金融引き締め政策を実施したが、インフレが収まる気配はまったくない。
・金融引き締めの結果、投資は冷え込み、今年6月時点で北京市内の売れ残りの不動産が12兆円分もある。
・今の不動産投機を支えているのは「銀行からの無制限な融資拡大」と、それによって支えられているバブルで、まさに「中国版サブプライム・ローン」といえる。
中国経済はまさに「張り子の虎」だ。貧富の差が拡大し、一般庶民はインフレに苦しみ、一向に楽にならないばかりか住宅ローンに追われて破産が相次いでいる。一方で富裕層は不動産投機に血眼になる。だがそのバブルも終わりを迎え、崩壊が始まった。
明日も石平氏の書籍から紹介してみたい。(仁)
【関連記事】
2011年12月号記事 「2012年世界はこうなる 第1部―国際政治編(2)」
http://www.the-liberty.com/article.php?pageId=1&item_id=3149
新聞やテレビだけじゃもう一つ物足りない、もう少し切り込んだ視点が知りたい。
情報が多くて整理できない。
本当のところが知りたい。
という方は定期購読をお勧めします。ロゴをクリック