川風に由紀ちゃんの髪が流されてサラサラと顔に掛かっている。
俺は満たされた気分でハンバーガーの残りを頬張る。
“ う~ん、いい雰囲気だなァ。”
そして、しばらく歩いていると足音が後ろから近付いて来た。
“ あれっ、何だ?”
なんだか、複数の足音だ。
俺は“誰かな?”って思って振り向く。
“ うわっ!”
俺たちの後ろに、腕を組んだ狸小路と女の子とお揚げ婆さんとが出現。
みんな、ニコニコ顔。
ガマ太郎とキツネが、その前でピョンピョン跳ねている。
黒い影は空中に浮かんでへらへらと踊っている。
“ ゲッ、なんて展開だ!”
俺と由紀ちゃんは、ハンバーガーを放り出して土手を必死で逃げる。
二人で手を繋いで逃げる。
いろいろな種類の足音が追いかけて来る。
俺たちは走って逃げる。
息を切らして逃げる。
逃げる、逃げる、逃げる。
俺たちはハアハア言いながら土手を逃げる。
“ もう、ダメだ、走れない・・・。”
足音は、さらに近付いて来る。
“ ヒタヒタヒタヒタ・・。”
狸小路と女の子とお揚げ婆さんが、スクラムを組んで直ぐ後ろにいる気配がする。
“ ああ、もうダメだ・・・。”
ガマ太郎の顔のアップがイメージされる。
「 ゲロ、ゲーロ!!」
「 うわっ!」
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