日々の恐怖 9月13日 40男の夏(2)
そして月日は流れ、俺がまだ鼻たれ坊主で、ファミコンが出るちょっと前の夏休みのことだった。
当事小4だった俺は、友達3人と一緒に朝から山へクワガタを取りに行った。
その辺りの山は一族(と言っても、親父を含めその兄弟)で所有している山だ。
だから普段からよく遊んでいた。
迷った事は一度もなく、その日も奥へ奥へと進んで行った。
最初のうちは四人仲良く虫を捕っていたが、やはり虫の大きさで争いが起こり、
「 自分だけででっかいの捕ってやる!」
となり、それぞれがバラバラに虫捕りを始めた。
木を蹴飛ばしたり、登ってみたり、根元を掘り返してみたり、夢中になって虫を探していた。
太陽も真上になり、お腹も減ったしそろそろ一度戻ろうかと辺りを見回すが、自分が何処にいるのか分からない。
まあ、小さい山だし、下って行けばそのうち知ってる場所に出るだろうと、斜面を下って行った。
が、日が傾きかけても一向に下山できず、歩き疲れるわ腹は減るわで、歩くのを止めその場で泣き出した。
すると、突然目の前に男の子が現れた。
本当に突然、パッと現れた。
それに驚きながらも、人が居たことに安心した。
見た感じも自分よりも少し大きいくらい。
「 なんだ、迷子になったのか・・・。」
短くそう言うと、その男の子は俺の手を引いて歩き出した。
手を引かれながらお互い自己紹介をし、話をしながら少し歩くと見覚えのある道に出た。
「 ここまで来れば分かるな?」
その言葉に頷き、ありがとうと言うと、
「 ○○(祖母の名前)によろしく。」
と、男の子はまた山に戻って行った。
” 何でまた山に・・・?”
と不思議に思いつつ、暗くなっていく中で家に帰った。
家に帰り、実家の隣に住んでた祖母に今日あったことを話した。
すると、最初に書いた内容を俺に話してくれた。
そして次の日、祖母に連れられ墓参りに行った。
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