大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 9月22日 40男の夏(3)

2024-09-22 15:25:16 | B,日々の恐怖
 
 
 
 
 
 日々の恐怖 9月22日 40男の夏(3)
 
 
 
 
 
 更に月日は流れ、数年前の夏。
小5の息子が夏休みと言うこともあり、家でダラダラと過ごしていた。
そこに、暑さでイライラしていたのか、俺の嫁から外で遊べとカミナリが落ちた。
 昼飯を食べたあと、仕方なく息子は3DSを握りしめ自転車に跨がり、
友達が集まっているであろう図書館へ行こうとした。
が、何を思ったのか、息子は自転車に乗って件の山へ向かった。
 
「 名前を呼ばれたから。」
 
と後で言っていた。
 それから夕方になった。
が、17時になっても息子は帰って来ない。
友達のとこで時間を忘れて遊んでいるのかと、あちこちに電話したがいない。
町内も探してみたが、全然見付からなかった。
 19時になっても戻って来なかったので、警察に捜索願いを出そうとした時、やっと帰ってきた。
怒鳴る嫁を尻目に、息子が俺に言ってきた。
 
「 ○×君(大伯父の名前)が、たまには墓参りに来いって怒ってたよ。」
 
その名前を聞いて、昔の記憶が蘇る。
この30年忘れていた。
更に息子は、
 
「 昔助けた恩を忘れたか!って言ってた。
パパ、山で迷子になって鼻水垂らしながら泣いてたんだって?
ダセェ~!」
 
固まる俺に、嫁が
 
「 どうしたの?
○×君て誰?」
 
と矢継ぎ早に聞いてくる。
 
「 まぁまぁ・・・・。」
 
とお茶を濁し、晩飯を食べて久しぶりに息子と風呂入って詳しく話を聞いた。
 曰く、家を出たら、山の方から何度も自分を呼ぶ声が聞こえた。
何だろうと思って行ってみたら、着物みたいの着た、見たことない男の子がいた。
一緒に遊ぼうと言うから遊んだ。
 そしたら、パパのことを知ってるみたいで、いろいろと昔の話を聞いた。
よくこの山で遊んでた事、迷子になって鼻水垂らしながら泣いてた事、
親に反発して山でタバコ吸ったけど、気持ち悪くなってゲロ撒き散らした事
などなど、おおよそ俺が山でした事を色々と聞いてた。
話が面白く、聞いたり質問したりしていたら帰りが遅くなってしまった。
合流したとこまで送ってくれて、最後に、○○がうちの孫は誰も墓参りに来ないと嘆いている、
助けた恩を忘れていないなら、○○の墓参りに来いって言ってた。
 話を聞き、
 
” そういや、ばぁちゃん死んでから、墓参り一度も行ってないな・・・・。”
 
と思っていたら、その夜、夢に大伯父が出てきた。
12歳の姿の大伯父に正座させられ、小さくなりながら説教をされ涙目の40男。
次の日、遅まきながら嫁と子供達を連れ墓参りに行った。
今の気分は悪くない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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