大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 5月8日 教授

2014-05-08 19:22:39 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 5月8日 教授


 あれは大学生の頃の話です。
当時の研究室の教授が普段はちゃんとした紳士なんだけど、とんでもない酒乱で新歓コンパとか追いコンとかでビール一杯飲んだだけで、ぐでんぐでんに酔っ払って別人になってしまう人だった。
それがおもしろくて、みんな酔っ払った教授の皿に食った後のカニの殻とかをそっと置いて、酔っ払った教授がその殻にバリバリとかぶりつくのを眺めて笑ったりしてた。
教授は次の日とかになると記憶が飛んでいるのか、ケロッといつもの紳士に戻っていた。

 あるコンパの日、2次会も終ってさぁ帰ろうかという時、いつものように教授は既にわけわからん酔っ払いと化し、店を出たところの歩道に仰向けにひっくり返って、手足をばたばたさせながら何かわめいていた。
いつもなら面倒くさいからそのまま置き去りにしてみんなさっさと帰るんだけど、その日はなぜか帰ったふりをして、こっそり物影から教授を観察しようということになった。
 数分経っただろうか・・・、それまでひっくり返ってばたばたしてた教授はいきなりサクッと立ち上がり、しっかりした足取りで歩いて行った。
酔っ払いの痕跡など微塵もない、いつもの紳士だった。
 後日、何かの機会に教授と親しい別の先生に酒の席でその話をしたら、

「 ああ、それね、気をつけたほうがいいよ、ふふふ。」

どうやら結構有名な話だったらしい。












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