日々の恐怖 9月30日 家に出る(3)
兄が24~26歳まで住んでた曰わく付き物件がある。
台所にはお婆さん、居間には影の集合体が家の中を徘徊する、よく分からない物体のいた一軒家だ。
一軒家なのに家賃は3万だ。
本当に気持ちの悪い家だった。
引っ越した当初、耳鳴りと金縛りにしばしば襲われたらしいが、兄は、
「 共存して行こうぜ!」
と訴え続けたらしい。
次第になくなる耳鳴りと金縛り。
最終的には、兄は、
「 見えない家族みたいなもんだよ♪」
と言い放った。
自作のお仏壇みたいのを作って、朝晩にごはんを上げていた。
引っ越す時、非常に寂しそうだったのが印象的だった。
兄は、
「 寂しがり屋の俺が一人暮らしできたのは、あいつらのお陰だ。」
って言っていた。
実家での話に戻る。
先にも書いた建て替えた家、あまりにも気持ちが悪いので、結局みんな自然ともう一軒の家に移ってしまった。
だかしかし、曰わく付き物件から帰った兄は、ここぞとばかりにその家で生活を始めた。
この家でも金縛りにあったらしいが、やはり、
「 共存しよう!」
で言いくるめたらしく、何事もなく暮らしてる。
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